小児期で確定診断する事が大切です

  • 診療科小児科
  • エリア岡山県岡山市

古城 真秀子(ふるじょう まほこ)先生

独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 小児科

古城 真秀子(ふるじょう まほこ)先生

ライソゾーム病の酵素補充療法(ERT)を行っています。

岡山医療センター小児科は、予防接種や乳幼児健診など、子どもの健康管理・健康増進を図るとともに、地域の救急医療の中核病院の小児科として24時間・365日体制で小児科医が常駐し小児の救急疾患に対応しています。一方で、非常に幅広い小児科の診療範囲に対応すべく、内分泌・代謝疾患、アレルギー疾患、感染症、腎疾患、神経疾患、心疾患など各分野のスペシャリストの小児科医が連携しつつ、高度かつ専門的な医療を提供しています。また、日本小児科学会の認定研修施設として全国各地から研修医やレジデントを受け入れ、若い医師たちの卒後臨床教育に力を注いでいます。
内分泌代謝疾患においては、低身長、糖尿病、甲状腺疾患、副腎疾患、先天代謝異常症などに対応しています。また、希少疾患・難病と言われている先天性代謝異常症のうちライソゾーム病(ファブリー病・ムコ多糖症・ゴーシェ病など)に対しては酵素補充療法(ERT)を行っています。

ファブリー病は早期診断・早期治療が重要です。

ファブリー病は小児期あるいは思春期に発症し,周期的な四肢の激痛発作(acroparesthesias),血管皮膚病変(angiokeratomas),低汗症,特徴的な角膜・水晶体混濁,タンパク尿などで始まります。ファブリー病の認知度は低く見過ごされることが多いため、早期に診断されにくい疾患です。大切なことは、小児期早期に確定診断し、治療開始のタイミングを計ることです。早期に治療を開始することで、症状を改善することや安定化させることが報告されています。検査方法としては血清、分離された白血球、培養細胞を用いて、原因酵素であるαガラクトシダーゼA(以下、α-Gal A)活性の低下を調べます。酵素活性検査は保険で認められており、一部の検査会社や研究機関・医療機関で測定可能であり、男性患者においては最も効果的で信頼のおける診断方法です。女性ではα-Gal A活性の低下が確認できれば保因者であることを証明できますが,多くの保因者ではα-Gal Aの酵素活性が正常範囲であることが多いため確定診断が困難とされています。保因者女性の診断には遺伝子検査が重要とされていますが、数%の割合で遺伝子変異が検出されない場合もあり注意が必要です。診断や治療の過程では遺伝カウンセラーとの連携も重要になります。

ファブリー病を疑う習慣をつけて下さい。

現在はα-Gal A酵素製剤が認可されており酵素補充療法(以下、ERT)が可能ですので、積極的にファブリー病を疑ってみることが重要です。ERTは2週間に1回、α-Gal A酵素製剤を点滴投与します。また、α-ガラクトシダーゼの立体構造を安定化することによって本来の酵素の働きを促進するシャペロン療法も認可されています(治療反応性のある遺伝子変異を伴う16歳以上の患者さんが対象)。

少しでもファブリー病と疑わしい症状がある場合には、家族歴、他の症状を確認の上、検査の実施をお勧めします。
繰り返しになりますが、症状の進行を抑制するには早期に診断することが必要です。ぜひ、ファブリー病を積極的に疑う習慣をつけていただきたいと思います。

医療機関名称 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 小児科
住所 〒701-1192 岡山県岡山市北区田益1711-1
電話番号 086-294-9911(代表)
医師名 古城 真秀子(ふるじょう まほこ)先生
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