アムビゾームは、アムホテリシンBの抗真菌活性を維持したまま、副作用の軽減を図るため開発されました。 開発の経緯をご紹介します。

深在性真菌症は医療技術の進歩による compromised host の増加に伴い、年々増え続ける傾向にあるのに加え、疾患自体が重篤化し、治療に難渋する症例も増えています。

近年、新しい深在性真菌症治療薬がいくつか発売されましたが、 1960 年代に登場した注射用アムホテリシンB製剤が今でも切り札的な位置づけとして使用されています。それは、アスペルギルス属やカンジダ属はいうに及ばず、ムーコルなどの接合菌までカバーする幅広い抗真菌スペクトルを有すること、今ある抗真菌薬の中で唯一真菌に直接作用し、殺菌的に効果を示すと考えられているからです。

その一方、腎機能障害や低カリウム血症、点滴注射中の発熱、悪寒、嘔気・嘔吐などの強い副作用を有している薬剤と位置づけられてきました。

アムホテリシンBの長所・短所

アムホテリシンBの長所・短所

このアムホテリシンBのもつ抗真菌活性を維持したまま、副作用の軽減を図ろうと考案されたのが米国 Gilead Science社(当時のVestar社、NeXstar Pharmaceuticals社)で創製されたAmBisomeです。
AmBisomeは、アムホテリシンBをリポソームと呼ばれる脂質二分子膜中に封入することで、アムホテリシンBの真菌に対する作用を維持しながら、生体細胞に対する傷害性を低下し、さらにアムホテリシンBの副作用で問題となる腎臓への分布量を低下させることに成功したDDS(Drug Delivery System)製剤です。

アムビゾームの構造(断面の模式図)

アムビゾームの構造(断面の模式図)

海外においては、1990年にアイルランドで承認されたのをはじめとして、1991年に英国、1997年に米国で承認・市販されており、深在性真菌症のみならず、広域抗菌薬に不応で深在性真菌症が疑われる発熱性好中球減少症にも有効であることが示されています。

大日本住友製薬株式会社では、このAmBisomeの臨床試験を1998年より開始し、「アムビゾーム点滴静注用 50mg」として、2006年4月に承認を受けました。
効能・効果として、「アスペルギルス属、カンジダ属、クリプトコッカス属による真菌感染症」のほか、「真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症」の効能・効果が本邦で初めて認められました。
また、2009年6月にはムーコル属などによる各種真菌種とリーシュマニア症に対する効能・効果、用法・用量を追加取得しました。

アムビゾーム開発の流れ
1988       救命救急的試験開始(欧州多施設)
1990       アイルランドで世界初承認
1991       イギリスで承認
1997       アメリカで承認(30カ国で承認)
1998.07-2001.03 国内第I/II相臨床試験
2001.09-2003.09 国内第II相臨床試験
2004.05     厚生労働省へ承認申請
2006.04     承認取得
2009.06     効能追加