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腰痛における精神医学的問題を見つけるための簡易問診票(BS-POP)の有用性

腰痛患者における精神医学的問題評価の重要性

厚生労働省から2016年に発表された国民生活基礎調査の症状別有訴者率によると、腰痛は男性で1位、女性でも2位となっており、患者数がもっとも多い症状の一つです。症状が3ヵ月以上持続する腰痛は「慢性腰痛」と定義されています。症状が慢性化してしまうと、低下したQOLを改善させることは容易ではありません。なぜなら、慢性腰痛には、心理的社会的因子が深く関与しているからです。

こうした腰痛患者の診断・治療においては、主訴である疼痛に焦点をあてた問診が重要です。心理的社会的因子、すなわち精神医学的問題との関連をきちんと明らかにしたうえで、治療方法を選択していくことが、治療成績の向上につながります。腰痛患者の精神医学的問題を見つけるには簡易問診票(Brief Scale for Psychiatric Problems in Orthopaedic Patients:BS-POP)が有用です。

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精神医学的問題を簡便に評価できるBS-POPとは?

従来、精神医学的問題を見つけるための方法としては、ミネソタ多面人格目録(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:MMPI)などが知られています。MMPIは、性格特性を、心気症、抑うつ、ヒステリー、男子性・女子性、精神衰弱などの9つの尺度に分類し、それらにあてはまるかどうかをみる心理検査ですが、設問数が550項目に及ぶため、日常診療で簡便に活用することはできませんでした。

そこで、臨床現場で精神医学的問題を短時間にスクリーニングすることを目的として、「整形外科疾患における精神医学的問題を見つけるための簡易問診票(Brief Scale for Psychiatric Problems in Orthopaedic Patients:BS-POP)」が開発されました。

BS-POPには、医師による患者評価のための質問票(BS-POP医師用)と、患者さんの自己評価のための質問票(BS-POP患者用)の2種類があります(表1-ab)。いずれも一問につき1~3点が配分され、総得点が高いほど異常と評価されます。BS-POP医師用は、診察上の問題点(過剰な訴え、イライラ感)、異常な行動や身体所見、患者さんの脅迫性や率直性といった人格障害に関する8項目の質問から構成され、得点範囲は8~24点です。一方、BS-POP患者用は、患者さんの抑うつ、イライラ感、睡眠障害に関する10項目の質問から構成され、得点範囲は10~30点となっています。

表1-a BS-POP 医師用
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表1-a BS-POP 医師用


表1-b BS-POP 患者用
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表1-b BS-POP 患者用

BS-POP医師用を単独で用いる場合は11点以上、医師用・患者用を組み合わせて使用する場合は、医師用10点以上かつ患者用15点以上の場合に、精神医学的問題が関与すると判定することができます。なお、医師用と患者用ではそれぞれ評価する内容が異なるため、BS-POP患者用は単独で使用するのではなく、医師用と組み合わせて評価するのが適切と言えます。

BS-POPによる評価の妥当性-MMPIとの相関-

BS-POPの妥当性を検証するため、2000年4月から2003年3月までに福島県立医科大学附属病院に入院した脊椎脊髄疾患患者125例(腰椎椎間板ヘルニア36例、腰部脊柱管狭窄症53例、頚椎症性脊髄症13例、その他23例)を対象に、BS-POP、MMPI、疼痛評価VAS(visual analogue scale)を用いて検討を行いました。

その結果、BS-POP医師用は、MMPIの心気症尺度、ヒステリー尺度と相関が高く、BS-POP患者用はMMPIの心気症尺度、抑うつ尺度、ヒステリー尺度との相関が高いことが明らかとなりました(表2)。これらの尺度は、疼痛など身体的訴えと関連が強いとされていることから、BS-POPは疼痛を主訴とする脊椎脊髄疾患患者の精神医学的問題のスクリーニングに有用であることが証明されました。一方、性、年齢、VASとの有意な相関はみられなかったことから、性、年齢、痛みの程度などの因子に影響されることなく、脊椎脊髄疾患の患者さんに特徴的な精神医学的問題を見つけ出すことが可能であるといえます。

表2 BS-POP得点とMMPI尺度得点との相関係数
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表2 BS-POP得点とMMPI尺度得点との相関係数

BS-POP活用のメリット

脊椎脊髄疾患により腰痛を訴える患者さんの診断・治療、さらに精神科への紹介に際しては、簡便かつ有効な基準に基づいて、精神医学的問題をきちんと見つけ出すことが重要です。そうした意味において、従来のMMPIなどの方法に比べて簡便性に優れ、かつ、精神医学的問題の評価の妥当性も持ち合わせたBS-POPは、有用な評価手段の一つといえるでしょう。

BS-POPは、評価が簡便で短時間でできることに加え、表3に示すような様々なメリットがあります。治療前にあらかじめ治療に対する満足度を予測できる可能性も示唆されています。診断のみならず、適切な治療法や、治療効果を考えるうえでも、有用な判断ツールになる可能性を有しています。

表3 BS-POP活用のメリット

疼痛などを主訴とする患者さんの精神医学的問題のスクリーニングができる。
性別や年齢などの影響を受けずに精神医学的問題を見つけることができる。
臨床現場で簡便かつ短時間(3分前後)でスクリーニングを行うことができる。
患者さんの自己評価だけでなく治療者側の評価を取り入れることができる。
治療前にあらかじめ治療の満足度を予測することができる。

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