ベンゾジアゼピンには重篤な依存性があるのか? フランスでの物質使用障害の全国規模の臨床調査

CLIN PHARMACOL THER, 109, 528-535, 2021 Are Seniors Dependent on Benzodiazepines? A National Clinical Survey of Substance Use Disorder. Victorri-Vigneau, C., Laforgue, E.-J., Grall-Bronnec, M., et al.

目的

近年,ベンゾジアゼピン及びZドラッグと呼ばれるゾルピデムとゾピクロン(以下,BZD/Z)の使用量は増加し続けている。BZD/Zの高齢者への使用は現在では推奨されていないが,老年人口におけるBZD/Zの使用率は15~43%とされている。更に,推奨されているのは一時的な使用であるにもかかわらず,数ヶ月や数年にわたって使用されることも多い。

BZD/Zの長期的な使用により,脳卒中,アルツハイマー病,認知機能低下のリスクが高まるとされ,これらのリスクは老年人口においてより高いとされる。しかし今日まで,DSM-Ⅳの診断基準を用いて老年人口におけるBDZ/Zへの依存を評価した研究はほとんどない。

方法

フランス国内で多施設共同前方視的観察研究を行い,老年人口における依存症の有病率と危険因子を評価した。65歳以上で,BZD/Zを少なくとも3ヶ月以上処方されており,フランス語が堪能な外来患者に対し,DSM-Ⅳの依存症診断基準を満たしているかどうかについて,電話による臨床インタビューで評価した。診断基準のうち,少なくとも3項目を満たしていることが依存症であることの条件とした。追加質問として,BZD/Zの使用をやめようとしたことがあるか,BZD/Zを得るために逸脱した行いをしたか,BZD/Zにより対人関係に困難を生じたか等が問われた。

結果

1,153名の該当者のうち1,024名が調査に含まれ,976名がインタビューを完遂した。72.9%が女性で,平均年齢は75.5歳であった。ほとんど全ての患者がBZD/Z以外の処方も受けており,80%がアルコール依存のリスクはなし~低度であった。

976名中442名[45.3%,95%信頼区間(CI):42.2-48.4%]がBZD/Zについて物質関連障害の診断基準を満たした。

多変量ロジスティック回帰分析では,BZD/Zの依存と関連があったのは,BZD/Zの使用をやめたいと思っていること[オッズ比(OR)=7.60],BZD/Zを入手するために逸脱した行為を行っていること(OR=2.70),精神的な問題を認めること(OR=2.22)であった。他の因子としては,対人関係に困難を抱えていること(OR=1.96),ほぼ完全な独居(OR=1.45),BZD/Z以外の治療を受けていること(OR=1.37),長期の治療を受けていること(OR=1.04),であった。また,依存患者のサブグループを明らかにするのに最適な潜在クラス分析(LCA)は,2クラスモデルであった。クラス1(27%)に対して,クラス2(73%)には,以下の二つの特徴があった。①BZD/Zを中止した際に離脱症状が認められた(100%),②BZD/Zをやめようとして失敗した経験がある(82%)。一方のクラス1の特徴は,耐性(76%)と,意図していたよりも摂取量が多く,摂取期間が長いこと(86%)であった。

結論

本研究での老年人口におけるBZD/Z依存率は45.3%であり,先行研究の35.2%に比較し,高い結果となった。BZD/Zへの依存は老年人口において頻出しており,依存が生じやすい因子も,本研究のLCAによって明らかになった。治療の選択は,その因子を確認して行う必要があるであろう。

2021年04月 [no.2(248号)]

(真鍋 淳)

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