メンタルヘルス研究におけるソーシャルメディアを用いた被験者募集:系統的レビュー

COMPR PSYCHIATRY, 103, 152197, 2020 Social Media Recruitment for Mental Health Research: A Systematic Review. Sanchez, C., Grzenda, A., Varias, A., et al.

背景

メンタルヘルス研究における被験者募集の問題点として,サンプルサイズ,募集に要する時間,コスト,一般人口と比べた場合の代表性などが挙げられる。メンタルヘルス研究における被験者募集を増やすための新しい戦略を発展させることが必要とされている。

今日まで,メンタルヘルス研究の被験者募集におけるソーシャルメディアの使用に関する系統的レビューはなされていない。本研究では,現在,メンタルヘルス研究においてソーシャルメディアがどのように使われているのかを調査した。

方法

検索語として(Facebook OR Twitter OR Instagram OR YouTube OR Tumblr OR Myspace OR Snapchat OR “social media” or “social networking) AND (recruit*OR advert*)を用い,メンタルヘルス/精神疾患に関連するキーワード及びソーシャルメディア・患者選別・メンタルヘルス/精神疾患に関連するMeSHと組み合わせて,MEDLINE,EMBASE,PsychINFOにおいて文献検索を行った。

組み入れ基準は,被験者募集方法としてソーシャルメディアを用いていること,メンタルヘルス研究のための被験者募集であること,査読済み雑誌に掲載されていること,二次分析ではなく一次データについて報告していること,の4点を満たしていることとした。

結果

2,316報の文献が同定され,最終的に176報が本研究に組み入れられた。過去10年間で,ソーシャルメディアを用いた被験者募集は増加していた。個人を対象として被験者を募集していた研究のうち,研究の種類の中で最も多かったのは横断研究(62.5%),次に無作為化対照試験(20.5%),非対照試験(11.4%),前方視的研究(5.1%),後方視的研究(0.6%)であった。

主に用いられていたソーシャルメディアはFacebookであり,Facebook単体での使用が68.8%,Twitterとの併用が13.6%,Instagramとの併用が5.1%,その他のプラットフォームとの併用は5.1%であった(表)。被験者募集方法としては有料広告が最も多かった(60.8%)。

調査対象となった疾患は,①物質使用障害(43.8%),②双極性障害,うつ病,産後不安/うつ,死別を含む気分障害(15.3%),③メンタルヘルス全般(11.9%),④ストレス,心的外傷及び/または心的外傷後ストレス障害(8.5%),⑤希死念慮及び自傷行為(4.5%),⑥摂食障害(4.0%),⑦不安症(2.8%),⑧衝動抑制障害(2.8%),⑨メンタルヘルスケアの提供(2.3%),⑩パーソナリティ障害(1.7%),⑪薬理学(1.1%),⑫神経発達症(0.6%),⑬精神病性障害(0.6%)であった(表)。

結論

ソーシャルメディアは,メンタルヘルス研究における喫緊の課題に取り組むための非常に大きな機会となることが示された。しかし,ソーシャルメディアは商用として所有されているため,ヒトを対象とした研究に対する現在のガイドラインでは扱われていないプライバシーや倫理感が存在している。

*ワイルドカード

2021年04月 [no.2(248号)]

表.メンタルヘルス研究におけるソーシャルメディアを用いた被験者募集の概要

(グナリディス 愛)

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