認知行動療法後の強迫症における脳活性化と症状改善との治療特異的な関連:機能的核磁気共鳴画像法の無作為化研究

AM J PSYCHIATRY, 178, 39-47, 2021 Treatment-Specific Associations Between Brain Activation and Symptom Reduction in OCD Following CBT: A Randomized fMRI Trial. Norman, L. J., Mannella, K., A., Yang, H., et al.

目的

強迫症(OCD)の心理療法として,曝露反応妨害法を含む認知行動療法(CBT)による症状の軽減が報告されているが,30~50%が治療に適切に反応していないとの報告もあり,信頼できる治療反応予測が求められている。OCDの神経学的メカニズムは解明されていないが,帯状‐弁蓋及び眼窩‐線条体‐視床下部ネットワークが関係しているとされている。

著者らは,OCDの青年及び成人において,対照治療群(ストレスマネジメント:SMT)と比較して,CBTに対する治療反応が脳の活性化と関連があるかどうかを調べた。認知コントロール中の帯状‐弁蓋,及び報酬プロセス中の眼窩‐線条体の活性化が治療前に高いと,SMT群よりもCBT群でより治療特異的に,より多くの症状が改善すると予測し,青年でも成人でもこれらの関連が示されるかどうかについて解析した。

方法

OCD患者87名が解析対象となった。このうち,42名を12週間のCBT(曝露反応妨害)を行う群(青年19名,成人23名,薬物治療の併用20名,女性28名),45名をSMT群(青年20名,成人25名,薬物治療の併用19名,女性29名)に割り付けた。

治療前に,認知コントロールと報酬プロセスの両方に対する脳の活性化を調査するインセンティブフランカー課題を実行して妨害反応時間,インセンティブ反応時間,妨害エラーを測定し,機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を施行した。

ボクセルワイズ線形混合効果モデルにより,基準時点の脳の活性化が,CBTまたはSMTの治療過程でエールブラウン強迫尺度(Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale:Y-BOCS)評点の変化と特異的に関連しているかどうかを調べた。

結果

CBT群でもSMT群でも時間の経過と共に症状の有意な改善が認められたが,CBT群での改善がより顕著であった。

認知コントロール中における左前運動皮質及び右側頭葉の活性化には,週ごと・治療群ごとのボクセル活性化との相互作用が認められた。CBT群でより良好な治療反応と関連していたのは,認知コントロール中においては右側頭葉(CBT群:B=-3.96,p=0.003;SMT群:B=5.09,p<0.001),吻側前帯状皮質(CBT群:B=-2.68,p=0.004;SMT群:B=2.94,p=0.01),左前運動皮質(CBT群:B=-2.91,p=0.002;SMT群:B=3.61,p=0.008)の治療前活性が高いこと,報酬プロセス中においては両側腹内側前頭前野,眼窩前頭皮質,扁桃体,下前頭回,背外側前頭前野を含む大きなクラスター(B=-3.91,p<0.001)の治療前活性が高いことであった。これとは逆に,SMT群でより良好な治療反応と関連していたのは,これらの領域の多くにおいて治療前の活性が低いことであった。

年齢によるサブグループでの検討では,成人でも青年でも,CBT及びSMT施行中に時間の経過と共に症状の減少が認められたが,時間経過による群間相互作用は, SMT群よりもCBT群でより良好な効果を示した(成人:B=-3.43,p<0.001;青年:B=-2.93,p=0.01)。CBT群でもSMT群でも,症状の改善及び脳活性化において,年齢による違いは認められなかった。

結論

本研究では,OCD患者において,治療前の認知コントロール・報酬プロセス中の脳活性化がCBTに対する治療反応と特異的に関連しているかどうかを調べた。その結果,障害を示唆する二つの神経ネットワーク領域(認知コントロール中の帯状‐弁蓋,報酬プロセス中の眼窩‐線条体‐視床下部ネットワーク)の治療前の活性化はCBTに対するより良好な治療反応,SMTに対するより不良な治療反応と関連しており,年齢による違いは認められなかった。このような治療特異的な関連は,OCDの治療を個別化するための生物学的マーカーを開発する上で重要である。

2021年04月 [no.2(248号)]

(石﨑 潤子)

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