【テーマ:COVID-19①】
パンデミック後の臨床医のメンタルヘルスへの対応:叙述的レビューと概念的枠組み

ANN INTERN MED, 173, 981-988, 2020 Addressing Postpandemic Clinician Mental Health. A Narrative Review and Conceptual Framework. Schwartz, R., Sinskey, J. L., Anand, U., et al.

COVID-19のパンデミックは臨床医のウェルビーイングを脅かすような心理的脅威をもたらしている。過去のパンデミックの研究では,臨床医が長期的なメンタルヘルス問題を抱えるリスクが高いことが強調されている。とりわけCOVID-19のパンデミックでは,長期にわたる不確実性と不安の高まり,本人や家族の安全への脅威,社会的孤立,身体的苦痛や死の目撃,職業上の要求の変化などにより,臨床医は持続的なストレス曝露や燃え尽き症候群を発症するリスクが高い環境に置かれている。臨床医のメンタルヘルスを守るには,包括的なメンタルヘルスの支援プログラムを開発し,それを展開するためのエビデンスに基づくアプローチが必要である。

そこで本研究では,COVID-19及び過去のパンデミックにおける臨床医のメンタルヘルスについて取り上げた96報の論文の文献レビューを行った。その結果,以下の七つのテーマが抽出された。すなわち,①レジリエンスとストレス軽減のための研修の必要性,②臨床医の基本的なニーズへの対応(飲料,食料,十分な休息,安全に隔離できる住居空間,交通手段,子育て支援,個人用保護具),③パンデミックによる業務上の役割の変化(再配置)に対する専門的な訓練の重要性,④指導者から認められることと明確なコミュニケーション(信頼性が高く,安心感のあるメッセージを伝えられること),⑤道徳的損傷(資源が不十分なために救命処置が受けられない患者を決めること,患者が単独で死亡するような方針への立ち会いやその強制など)の認識と対処法,⑥ピアサポートと社会的支援の介入の必要性,⑦メンタルヘルス支援プログラムの正常化と提供,である。

また著者らは,医療従事者が容易にアクセスできるよう,Collaborative for Healing and Renewal in Medicine(CHARM)ネットワークと協力して,世界中の医療機関や専門家団体から実践ガイドラインやリソースを収集し,表にまとめた。

臨床医は自分よりも他者のニーズを優先することが知られており,彼らのウェルネスに対処するには,積極的な支援が必要である。COVID-19パンデミックの間にケアを提供するための心理的負担を軽減するには,臨床医の基本的なニーズを確実に満たし,臨床医のメンタルヘルス支援のための長期的な個人的(たとえば,感情的な認識やセルフケア),組織的(たとえば,メンタルヘルス支援プログラム,献身的なリーダーシップ),社会的(たとえば,医療における支持的な文化,ウェルビーイングを強化する国の政策)なインフラを整備することが必要である。

2021年04月 [no.2(248号)]

表.医療職員のための有用性のたかいCOVID-19専用リソース*

(谷 英明)

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