選択的セロトニン再取り込み阻害薬と骨折リスクの関連:最新の系統的レビューとメタ解析

EUR J CLIN PHARMACOL, 76, 1373-1392, 2020 Alliance between Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Fracture Risk: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis. Kumar, M., Bajpai, R., Shaik, A. R., et al.

はじめに

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の長期使用は骨粗鬆症及び骨折リスクと関連があることが示されている。2016年までの研究データを使用したメタ解析ではSSRI使用は骨折リスクと関連していたが,2016年以降も質の高い研究が発表されている。本研究の目的は,SSRI使用と骨折リスクに関する系統的レビューとメタ解析を更新することである。

方法

PubMed,Cochrane library,Google Scholarの検索エンジンを用いて,“selective serotonin reuptake inhibitor”,“fracture”,“osteoporosis”,“osteopenia”,“bone loss”,“SSRIs”,“SSRI’s”,“fracture risk”をキーワードとして論文検索を行った。成人を対象に,SSRI使用群と対照群(SSRI不使用群)を比較して,骨折を主要転帰としている観察研究を組み入れた。

論文の質はROBINS-Iで評価した。論文のスクリーニング,データの抽出,バイアスリスクの評価は2名の著者が別々に評価した。

エフェクトサイズは分散の逆数で重みづけを行った。DerSimonian and Laird法を用いて,相対リスク(RR)の統合を行った。研究間の異質性はCochraneのQ統計量とI2統計量を用いて評価した。出版バイアスはファンネルプロットを用いて評価した。研究デザイン,投与量,出版年,調整された危険因子の数,うつ病の有無,日常活動度,骨粗鬆症の有無,骨密度に応じたサブグループ解析を行った。また,骨密度と骨粗鬆症を調整した感度分析を行った。

結果

69報の論文を評価し,37報(14報の症例対照研究,23報のコホート研究)が組み入れられた。ROBINS-Iによる評価の結果,8報に致命的なバイアスのリスク,29報に深刻なバイアスのリスクがあるとされた。SSRI使用は骨折リスク上昇と関連していた[RR=1.62,95%信頼区間(CI):1.52-1.73,p<0.000,I2=90.8%]。症例対照研究のみのメタ解析(RR=1.80,95%CI:1.59-2.03,p<0.000,I2=93.2%),コホート研究のみのメタ解析(RR=1.52,95%CI:1.40-1.65,p<0.000,I2=88.0%)とも同様の結果であった。サブグループ解析の結果,地理的要因,研究デザイン,骨折の危険因子の数,SSRI投与量,SSRI使用期間,骨折部位,研究の行われた時期,うつ病の調整の有無,日常活動度の調整の有無,性別,年齢を考慮に入れても,SSRIと骨折の相関は有意なものであった。出版バイアスはないものと判断された。感度分析の結果,骨密度あるいは骨粗鬆症を調整した研究では,骨折のRRがいずれも低かった。

結論

本メタ解析の結果,SSRIを使用している患者では,使用していない患者と比較して骨折のリスクが高いことが示された。しかしながら,本メタ解析に組み込まれた研究はいずれもバイアスのリスクが高く,結果の解釈には注意が必要である。

2021年02月 [no.1(247号)]

(石田 琢人)

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