うつ病に対する認知行動療法の上乗せ効果─無作為化対照試験─

Journal of Clinical Psychiatry, 78, 1126-1135, 2017 Effectiveness of Supplementary Cognitive-Behavioral Therapy for Pharmacotherapy-Resistant Depression ATSUO NAKAGAWA, DAI MITSUDA, MITSUHIRO SADO, TAKAYUKI ABE, DAISUKE FUJISAWA, TOSHIAKI KIKUCHI, SATORU IWASHITA, MASARU MIMURA, YUTAKA ONO

背景

うつ病治療において抗うつ薬による薬物療法は有効であるが,薬物療法だけでは改善しない患者も少なくない。その一方で,薬物療法に十分に反応を示さないうつ病患者に対して,精神療法の上乗せ効果を検証した報告は少ない。そこで,精神科医療機関に通院している薬物治療抵抗性うつ病患者を対象に,薬物療法を主体とする外来治療(treatment as usual:TAU)への認知行動療法(cognitive behavior therapy:CBT)の上乗せ効果を検証した。

方法

16週間の介入期間と1年間の追跡期間を設け,評価者を盲検化した無作為化対照試験を実施した。適格基準は,20~65歳で,少なくとも8週以上の十分な抗うつ薬による薬物療法を受けてもハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)≧16ならびにMaudsley Staging Method for treatment-resistant depression≧3を認める,DSM-Ⅳ大うつ病性障害を有する外来患者とした。患者は,TAU群,またはTAUに16セッション(1回50分)のCBTを併用した群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は16週(介入終了)時点でのGRID-HAMD得点の改善,副次評価項目は寛解などとし,介入後1年まで追跡した。

結果

合計80名の患者が無作為化され,78名(97.5%)が16週評価を,73名(91.3%)が1年後評価を受けた。CBT併用群は,介入終了の16週時点において有意な改善を認め[GRID-HAMD得点の2群間差:-5.4点,95%信頼区間(CI):-8.1--2.6,p<0.001],介入終了後1年時点においてもその有効性が認められた(GRID-HAMD得点の2群間差:-4.4点,95%CI:-7.2--1.6,p=0.002)。副次評価項目の寛解(GRID-HAMD得点≦7)達成率のリスク比(RR)においても,16週時点で2.13(95%CI:1.04-4.35),介入終了後1年時点で1.71(95%CI:1.13-2.57)と,CBT併用群の有意な改善が示された。

結論

本研究にてCBTの上乗せ効果は介入終了時のみならず,少なくとも介入終了1年後までも維持されることが示された。精神科医療機関に通院し,薬物治療にて十分に奏効しないうつ病患者において,CBTの上乗せは合理的な治療選択の一つとなる可能性がある。

(慶應義塾大学病院臨床研究推進センター/慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 中川 敦夫)

このウィンドウを閉じる際には、ブラウザの「閉じる」ボタンを押してください。