健常者における基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌の便中保菌とリスク因子:系統的レビューとメタアナリシス

Clinical Infectious Diseases, Volume 63, Issue 3, 1 August 2016, Pages 310–318, Fecal Colonization With Extended-spectrum Beta-lactamase–Producing Enterobacteriaceae and Risk Factors Among Healthy Individuals: A Systematic Review and Metaanalysis Styliani Karanika, Theodoros Karantanos, Marios Arvanitis, Christos Grigoras, and Eleftherios Mylonakis

背景

腸管内保菌は、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌感染症のリスク因子である。本研究の目的は、健常者におけるクラスA-ESBL産生菌のリザーバについて明らかにすることであった。

方法

世界保健機関の地域区分別に、健常者におけるクラスA-ESBL産生菌の便中保菌に関するデータを含む研究について、PubMedおよびEMBASEで検索した(2015年7月10日まで)。分離株におけるCTX-M型酵素、SHV型酵素、およびTEM型酵素の分布と、過去の抗菌薬使用、海外旅行、入院歴、および動物との接触に関するデータを抽出した。

結果

17,479件の研究のうち66件(健常者28,909例)を対象とした。クラスA-ESBL産生菌の総保菌率は14%(95%信頼区間[CI]9~20)で、年間5.38%の上昇傾向が認められた(ランダム効果モデル:P=0.003)。総保菌率は、アジアおよびアフリカで高く(46%[95%CI 29~63]から15%[95%CI 4~31])、中央ヨーロッパ(3%、95%CI 1~5)、北ヨーロッパ(4%、95%CI 2~6)、南ヨーロッパ(6%、95%CI 1~12)、および南北アメリカ(2%、95%CI 0~5)のほうが低かったものの、依然として高かった。CTX-Mは、検出頻度の高いESBL酵素であった(69%)。4ヵ月前または12ヵ月前の抗菌薬の使用が、高い保菌リスクと関連していた(それぞれリスク比[RR]1.63;95%CI 1.19~2.24およびRR 1.58;95%CI 1.16~2.16)。海外旅行もESBL産生菌の保菌と関連していた(RR 4.06[95%CI 1.33~12.41])。

結論

健常者におけるESBL産生菌の保菌率は世界的に高かった。感染制御および抗菌薬管理の方針を決定する際に、この結果を考慮すべきである。

(愛知医科大学 山岸由佳先生)

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