【第2回】「退院時の連携と言われても・・」

孫 尚孝氏株式会社ファーマシィ医療連携部長 / 東京薬科大学客員教授 / 神戸薬科大学非常勤講師 / 帝京大学非常勤講師


前回お話ししたように、退院調整では入院中の処方を在宅生活に合わせて再設計するところから始めます。

例えば、入院中は看護師が服薬介助などを代行してくれますが、在宅ではそういうわけにいきません。在宅では独居や高齢世帯など生活環境も様々、利用する医療・介護保険サービスの内容や頻度も様々です。その生活環境に合わせて、患者がきちんと服薬できるように服用時間帯や服用回数、薬剤の剤型などを処方医と調整する必要があります。

また、保険適応の問題も重要です。DPC対象病院では入院中に使用する薬剤や医療材料の費用は包括的に評価されますが、それをそのまま在宅医療に引き継ぐと、表1で示すように「注射薬が院外処方できない」「適応外使用により保険請求できない」などといった問題が表面化することがあります。

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表1:保険適応の問題事例

このような場合には、在宅医療を担う医師とその対応について協議する必要があります。また、協議した内容を入院医療機関にも共有することで、在宅医療での保険適応も意識した入院中の医療につなげることができます。

では、入院医療機関から提供された情報はどのように活用するのでしょうか?

在宅医療では入院と違って、患者が急変した時に医師や看護師がすぐに駆けつけることができないので、起こりうるリスクを予め想定しながら早め早めの対応を行う必要があります。そのために、入院中に起こった状態変化やその時の対処法などを知っておくことは重要です。また、入院中になぜその薬剤が処方されたのかなどの背景を把握できているか否かで、在宅医への処方提案や議論の質が大きく変わります。

令和2年度診療報酬改定では、退院時の入院医療機関から保険薬局への情報提供に対する評価として、「退院時薬剤情報連携加算」が新設されました。その追い風も利用して、ぜひ積極的に退院時連携のアプローチをしましょう。

次回は入院時の薬薬連携についてご紹介させていただきます。