【POINT.2】患者さんの「思い」に寄り添った行動目標を立てて支援

髙木 美保 氏薬樹株式会社 薬樹薬局 飯田橋(東京都)/ストアマネジャー・管理薬剤師

患者さんのおっしゃることは否定せず、まず傾聴することが大切

私が介入するきっかけとして多いのは、やはりお薬の量が増えた場合です。その患者さんのコンプライアンスを確認し、もし悪いのであれば、お食事の内容や食べるタイミングをうかがうようにしています。特に1日3回投与の場合は気を付けて聞き取るようにしています。

患者さんには血液検査をしたらデータを持ってきてほしいとお伝えしているので、増量や処方変更の理由は大体推測できます。しかし、患者さんの多くは、見当がつかないので、私から数値の変化とその要因をお話しして理解いただき、患者さんと一緒に行動目標を立てて改善を目指します。

ただ認識、意識があまり高くない方も多くいらっしゃいます。そういう方には、透析や多様な合併症の可能性など、リスクをお伝えした上で、検査値がなぜ悪かったのかご自身で振り返っていただきます。あまり本当のことを言いたがらない患者さんもいらっしゃいますが、おっしゃることは否定せずに傾聴します。そして、「この状態が続くとどうなると思いますか?」「一緒に頑張りましょう!」と伝えることが多いですね。

ただ、何も目的、目標がなければやる気にはなりません。ある患者さんは、小さなお子さんを抱え、「二十歳まで生きていたい!」という人生の目的がありました。そこで健康寿命を維持するための行動目標を一緒に立てました。

頑張っても、思うように数値が改善せずに、やる気をなくすこともあります。そのため一時的な数値の変化で一喜一憂するのではなく、その患者さんが目的を忘れないように、常にすり合わせをしています。他のケースもそうですが、モチベーションを保つために、行動目標は半年を目途に見直しながら、取り組んでいます。

投薬待ち時間に管理栄養士が聴取した情報を踏まえて薬剤師が服薬指導

日常的には、糖尿病や高血圧の方が来局された際に、待ち時間を利用して管理栄養士からお声がけをしています。生活習慣や食事の状況など、聞き取った内容はすぐに薬剤師に伝えてもらいます。例えば生活習慣の状況から、「朝起きるのが遅く1日3回は服用できていないようです」というように。血液検査の結果を持参していれば、腎機能やHbA1cの数値なども事前に伝えてもらい、服薬指導にいかします。

また、薬局に管理栄養士がいることで、薬と食事の両面から糖尿病予備軍への介入もできます。例えば精神疾患のある方は薬の影響で糖代謝異常を起こしやすいのですが、食事で改善できる部分もあります。ある患者さんは、HbA1cの値が悪くなり、「医師から、そろそろ薬を飲もうか」といわれ、相談に来られました。「薬を飲みたくない」とお話しされていましたが、糖尿病になりたくないので「食べなければよい」と、栄養の知識も不足していました。

そこでタンパク質はきちんと取ることが重要など、バランスよく食べるよう栄養指導を続けました。その結果、HbA1cの値も安定し、糖尿病のお薬は飲まずに済んでいます。

今後はさらに“予防”に取り組み、患者負担の軽減に貢献したい

今後は、管理栄養士との連携のなかで、糖尿病の悪化防止と未然の予防にさらに積極的に取り組みたいと思っています。糖尿病が悪化すれば様々な合併症を発症し薬が増え、最終的には透析の可能性もあります。透析は3日に1回は必要ですので、当然QOLは低下、年間500万円近くも医療費がかかります。薬剤師が管理栄養士とタッグを組むことで、その負担軽減に貢献できればと考えています。少なくとも薬は最低限に減らしたいなと思っています。

そのためには患者さんも主体的になって、何故自分が薬を服用しなければならないかを考えて服薬していただく必要があります。お互いに行動目標を共有して、減薬、さらには服薬中止ができるよう、患者さんと医療との懸け橋になればいいなと思っています。そして、薬局が食事を含め生活習慣の改善をサポートしてもらえる場所なのだということを、患者さんや医師にも、もっと知っていただけるよう活動していきたいと思っています。