【POINT.1】薬剤師と管理栄養士の専門性を生かして、患者に適した食生活と薬物療法を支援

髙木 美保 氏薬樹株式会社 薬樹薬局 飯田橋(東京都)/ストアマネジャー・管理薬剤師

「食生活サポートプログラム」発足をきっかけに連携体制を充実

薬樹薬局飯田橋店ではもともと糖尿病の患者さんが多く、管理栄養士が在籍していたので、食事に関心がある方を対象に栄養相談やイベントをしていました。ただ、管理栄養士が一部事務を兼務していたので、より専門性を活用していこうと考え、2017年から、薬剤師との連携による「食生活サポートプログラム」を発足させました。近隣の医療機関には「薬局で栄養相談ができます」とお伝えし、栄養食事指導箋を発行していただくよう活動しました。

医師からは、限られた時間では肥満や糖尿病患者さんに対して十分にお話ができないため、薬局の薬剤師と管理栄養士が協力して、食生活等のサポートをするプログラムに興味を持っていただき、栄養食事指導箋の発行にもつながっていきました。

ただ、最初から管理栄養士とうまく連携が取れていたわけではありません。薬剤師も管理栄養士にどうつないだら良いかと、互いに試行錯誤し、話し合いを重ね、次第に連携がとれるようになりました。やはり、お互いに学び合うことが大事ですので、定期的なミーティングやカンファレンスを頻繁に行っています。

コンプライアンスの悪い患者さんには、食事の内容とタイミングを聴取

最近の具体的な連携事例を少し紹介します。もともと、かかりつけとして当薬局に来られていた60代前半の若年性認知症、糖尿病の男性患者さんの事例で、急に糖尿病のお薬の量が増えた方がいらっしゃいました。ご本人にお話を伺うと、一人暮らしで料理はせず、揚げ物などが多く栄養が偏り、しかも食事は1日に2回ということがわかりました。

服薬に関しては、認知症のお薬は一包化していましたので、きちんと服用していたのですが、糖尿病の薬は、服用を忘れることもあり、コンプライアンスはよくありません。これも一包化の必要があるかな、という状況でした。ご本人からは主治医に、食事状況も服用忘れのことも伝えておらず、「薬はあまり飲みたくない」というご希望でした。そこで介入することを決め、患者さんの了解を得て、聞き取った内容と管理栄養士に依頼した指導内容とを、トレーシングレポートにまとめ、主治医に報告しました。

その方は、大体1ヵ月に一度来局されますので、私たちは血糖値の動向を確認しながら、現在(2020年12月)もフォローしています。管理栄養士が立てた食事改善の行動目標に向けて継続的に頑張っておられ、いまでは体重が減り、血糖値もうまくコントロールでき、もう少しで減薬ができる段階まできました。

このケースでは、患者さんの体格が大きかったことと、認知症が背景にあり、食事の影響が出やすいだろうと判断し、管理栄養士とともに介入した事例になります。

別の事例(図1:②)では、以前は他の薬局に通っていた50代男性が、栄養指導が受けられるということで当薬局に切り替えられました。この方は、糖尿病のお薬を飲まれていて、栄養食事指導箋も出ていました。ご本人は「糖尿病になると食事も楽しめない」との思いが強く、もともと治療に対するモチベーションは高く、奥様も一緒に栄養相談に来られました。1ヵ月に1回の来局時に、薬剤師が血液検査結果を確認し、食事内容の聞き取りをしました。奥様にも管理栄養士から食事等のアドバイスをし、介入から半年で体重が83㎏から69.5㎏へ、HbA1cは11.9から5.4 まで改善され、2020年12月現在は糖尿病のお薬は必要なくなりました。

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図1:髙木氏の介入事例