【POINT.2】開封済みインスリン製剤を低温保管しないよう注意喚起

添田 英男 氏株式会社なの花北海道 なの花薬局室蘭宮の森店(北海道)/ 薬局長・管理薬剤師

汚染防止で添加されているクレゾールは常温で高い殺菌効果

海に面している室蘭市は、北海道の中では比較的、温暖な土地柄です。しかし、冬には気温は氷点下になりますので、寒い時期における使用中(開封済み)のインスリン製剤の保管には、患者さんに特に注意を促すようにしています。

開封済みのインスリン製剤の保管は、暖かい室内でも窓際は低温になる可能性がありますので、避けたほうがよいと考えています。車内放置も不可です。基本的に私は、人が不快と感じない温度がインスリン製剤の保管に適していると考えていますので、外出時は外気に触れないように上着ポケットに入れる必要があること、またタオルに包むなどの配慮が必要なことを患者さんに指導しています。

室内であっても、北海道では氷点下になる場合があります。そのため暖房が効いた部屋で保管することが大切です。北海道ではデバイスが凍ってしまい壊れたという話も聞いていますので、注意が必要です。また、開封後の汚染を防ぐ目的で添加されているクレゾールの殺菌効果を低下させないためにも、保管温度が低くならないように注意すべきと考えています。例えば、4℃と25℃におけるクレゾールの殺菌効果を比較すると、25℃で保管したほうが高い殺菌効果を示すことが知られています。一般的な感覚からすると、冷所のほうが菌の繁殖が少なく抑えられるように考えがちですから、特にその点は強く注意を促すようにしています。

もし、凍結しないまでも低温で保管してしまい、低温のまま注射しようとすると痛みが強くなる場合があるほか、違和感が生じることがあります。また論文によると、ゴムが固くなるためコアリングしやすくなる傾向があるようですので、室温程度に戻してから使用することが無難と考えています。

advocacy(擁護)活動の一環になった糖尿病啓発イベント

2年ほど前までは、地域の日本糖尿病療養指導士の会が中心となって年に1回、糖尿病啓発イベントを開催していました。当薬局も参加し、最近では検体測定室を臨時開設し、希望者のHbA1cを測定していました。中には、6.5%以上の方が散見できましたので、受診を勧奨できた良い機会になったと受け止めています。

日本糖尿病学会編・著の「糖尿病治療ガイド2018-2019」においては、「糖尿病治療の目標」は患者さん本人のことのみの記載に止まっていました。しかし、「同2020-2021」では、糖尿病が原因となってstigma(社会的烙印・汚名)が生じ、それを放置すると糖尿病患者さんが社会活動で不利益を被る危険性があると指摘しています※1。そのため、糖尿病患者さんが健康な人と変わらない人生を目指す上でも、advocacy(擁護)活動などを通じ、stigmaを取り除く努力も大切であろうという概念が新たに加えられています。

糖尿病治療に新たな概念が加わったということは、2年前まで我々が参加していた糖尿病啓発イベントも、微力ではあったもののadvocacy活動の一環になったのではないかと受け止めています。

  1. 「糖尿病治療ガイド2020-2021」編著:日本糖尿病学会 / 文光堂