佐藤 雄一 氏株式会社フロンティア フロンティア薬局中の島店

2人の在宅糖尿病患者を中心に良好な多職種連携体制を構築

次に具体的な事例を紹介します。現在、ケアマネ、訪問看護師等と連携しながら、2人の糖尿病患者さんを担当しています。

1例目は、独居の70代女性。悪性関節リウマチで長期入院後、2018年3月29日に要介護2認定で退院。近隣のケアマネさんから相談を受け、退院後、他院の外来処方により4月16日から居宅療養指導を開始することになりました。在宅への移行を前に、3月19日に退院時カンファレンスに参加しました。

入院中は、自らヒートシール開封が困難だったため、錠剤はすべて一包化でした。ご本人も「その方が間違わない」との意思表示があり、食直前の1錠も単独で分包、台紙の一番上にその錠剤が見えるよう、ホッチキス止めでセットすることを提案し、採用されました。

ところがこの患者さんは、退院した翌日の3月30日に低血糖を起こしました。本人から訪問看護師(以下、訪看さん)への第一報は、「気持ちが悪い」と体調不良の連絡でした。血糖値を測るように伝え、自己血糖値が68mg/dLと低いことから、低血糖による体調不良と判断。薬局に「低血糖への対処を指導してほしい」との連絡・依頼が入り、ご自宅にはブドウ糖の用意がなかったので、私が持参して指導しました。その後、血糖値が戻ったことを含め、経緯をケアマネに報告。ケアマネは主治医へ低血糖の解消までの経緯を報告し、当初予定の受診日を早めることになりました。

このケースでは、多職種が適切に連携した結果、事なきを得たのですが、私にとっても緊急事態でした。しかし、スムーズに低血糖への対応ができたのは、退院前カンファレンスで互いに顔を合わせて情報共有し、コミュニケーションをとれる関係があったことが大きいと思います。その後も日頃の連絡やサービス担当者会議などで連携体制の充実に努めています。

訪問看護師との“2人体制”で良好なコンプライアンスを維持

実際の訪問指導については、毎週火曜日に訪看さんが入ることから、私は金曜日に訪問して、お薬をセットするというスケジュールを提案しました。「より多くの専門職の目が届くこと」が重要だと考えたからです。私が薬をセットしたのち、訪看さんには土曜日から月曜日までの服薬状況などをチェックしてもらいます。また、ヘルパーさんには特にお菓子の買い過ぎは、控えてもらうなど連携しています。この患者さんは、意識が高い方で問題ないのですが、間食対応で苦労するケースは多いと思います。

医師への報告では、1週間の服薬コンプライアンスと自己血糖測定の結果などを居宅療養管理指導報告書に明記しています。また、冷蔵庫の中のインスリン製剤、低血糖用のブドウ糖の数なども必ずチェックしています。もう一人の担当患者さんを含め、間食した、逆に食事を抜いてしまった場合は、血糖値との関係がわかるよう報告しています。この患者さんの場合、私と訪看さんという2人体制が奏効し、現在も薬の飲み忘れはなく、当初に比べ減薬もできました。このような処方変更時など、必要に応じ、まめに訪看、ヘルパーさんに電話等で連絡しています。

もう一例は、少し認知症が見られる独居、70代の女性です。この方は2018年12月に入院、退院後は要介護1に認定され、親しくしているもう一つの居宅介護支援事業所のケアマネさんからの相談・紹介を経て、19年5月から居宅療養管理指導を開始しています。退院時カンファレンスには参加できなかったのですが、ケアマネさんを介して看護サマリなど拝見し、必要な情報を得て対応しています。

この方は介護保険の関係で、週1回の訪問は経済的に負担が大きいことから、月に2回訪問し、その合間は電話でのフォローアップをしています。主に血糖値の推移や服用状況などを確認しています。コンプライアンスの維持に向けては、お薬カレンダーを使っているものの、認知症があることから、日付印字を提案しました。着実に服用していただくことが重要ですが、私が頻繁に訪問できません。これにより飲み残しがいつ起きたか、訪看さんやヘルパーさんに確認してもらえます。

「薬のことは薬剤師に任せる」関係づくりに向けてさらに前進

在宅患者さんを担当するようになってから日は浅いのですが、個人宅でも施設でも、訪看さんが薬の管理をしているケースが多いことを知りました。勿論、訪看さんには協力していただきますが、今後は薬剤師が中心に対応していくべきだと思います。患者さん、訪看さんにも、「薬のことは薬剤師に任せる」という関係づくりが必要です。

特に糖尿病では、食直前の薬が出ている場合、薬剤師なら「なぜ直前なのか」をわかりやすく説明できます。患者さんに理解、納得して飲んでもらうことが、より良いQOLにつながると思います。

今後も患者さんへの丁寧な対応は当然としても、関係職種とのまめな連絡を通じ、連携を深め、「かかりつけ薬剤師」として選ばれる存在を目指したいと思います。そのため処方医への積極的な処方提案も、その一つのテーマだと考えています。