患者さんを招き、ソリューションを評価してもらう

患者さんを招き、プロトタイプ(簡単な試作品・試行サービス)を使っていただき、それを評価してもらうことで、ソリューションに向けて検証を進めます。評価いただくには、患者さんへの1対1のインタビューが有効です。インタビューを通じて、ソリューションがうまくいくのか、いかないのか、だけではなく、「なぜ」うまくいくのか、「なぜ」うまくいかないのかを理解することで、ソリューションをどのように改善し、具体化していくべきかを明らかにします。
この段階では、少数の患者さんから、より多くの学びを得ることがポイントになります。1対1のインタビューは、アンケートでは手に入らない「気づき」をもたらしてくれるからです。
インタビューの対象数の目安は5名です。少ないように感じられるかもしれませんが、すでに分かっていることを検証する調査とは異なり、分からなかった気づきなどを発見するこの段階の調査では、5名で十分です。例えば、ウェブサイトのユーザビリティ(使い良さ)調査において、重要な問題の85%が5名のテストによって明らかになることが実証されています。テストの人数を5名以上に増やしても追加のメリットがほとんどなくなってしまうのです1)。同様の関係が患者さんの体験デザインにも当てはまります。見つからなかった15%の問題を発見するために莫大な時間やコストをかけるのではなく、発見された85%の問題を改善してから再度テストをしたほうがよい、という考え方です。

1)Jakob Nielsen : Why You Only Need to Test with 5 Users. on March 19, 2000.
(http://www.useit.com/alertbox/20000319.html)

【図:1】ユーザビリティとテストの人数の関係

【図 :1】ユーザビリティとテストの人数の関係

インタビューは以下の4つのステップで実施します。

1.挨拶~インタビュー内容の説明
場の雰囲気を和ませ、対象者がリラックスできる状態になってもらう。正解がないこと、対象者がテストされているのではないことを伝える
2.対象者のプロフィールの理解〜ゴールの検証
職業や日々の生活の話からはじめて、テーマに関する対象者のゴールをオープンエンドの質問を重ねて検証する
3.プロトタイプの体験
対象者が自力でプロトタイプ(簡単な試作品・試行サービス)を理解し、やりとりをする様子を観察する。考えていることをそのまま口に出してもらう。必要に応じて、なぜそのように反応したのか質問する
4.振り返り〜お礼
ソリューションをどのように理解したか/感じたか、ソリューションの良い点/悪い点、ソリューションの改善点などを確認する
【インタビュー風景】
インタビューのバックルームでは、ビデオ越しに他のチームメンバー全員で対象者の反応を観察し、色や記号で「いい」「悪い」「どちらでもない」の3つのタイプの付箋に分け、「+:スムーズに利用できた」「+:受け答えをしながら笑顔になった」「-:面倒くさそうにと発言した」などのメモを取ります。一つのインタビューが終わったら、それぞれのメモを共有します。
すべてのインタビューが終わったら、すべてのメモを貼り出し、3人以上に見られた共通のパターンを探し、それぞれを「いい」「悪い」「どちらでもない」の3つに分類し、なぜそのような結果になったのか解釈し、次のステップを検討します。

ソリューションを、患者さん(ユーザー)に検証していただくテストの際のポイントを「ユーザーテストガイド」としてまとめました。

【図 :2】インタビュー風景

【図 :2】インタビュー風景

ユーザーテストガイドをダウンロードできます。

その他ツール(共感マップ、ペルソナ、ワークショップガイドなど)もご利用いただけます

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