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HX Design Lecture:chapter 05-18
エモーショナル・モチーフを設定する
個々の施策が優れていても、それらが患者さんに届けようとしている感情がバラバラであれば、全体として効果的に機能しません。エモーショナル・モチーフとは、感情を表すキーワードであり、患者さんに届けたい感情を設定し、患者さんの望むゴールとの関係を視覚化したものです。患者さんにどのような感情を届け、記憶に刻んでもらいたいのか、個々の施策を検討する前にエモーショナル・モチーフを設定し、大きな方向性を決めます。エモーショナル・モチーフは、以下のステップで設定していきます。
- 1.ペルソナをリストアップする
- 対象となる患者さんや家族のペルソナをリストアップし、壁などに貼り出して共有する
- 2.ペルソナのゴールをベースに感情を洗い出す
- それぞれのペルソナのエンド・ゴール(患者さんが得たい結果)、エモーショナル・ゴール(患者さんがなりたい気持ち)、ライフ・ゴール(患者さんの描く理想の状態)を付箋に書き出し、近いものをまとめながら、関連する感情を付箋に書きたす
- 3.線で結んでマップ化する
- それぞれの付箋の関係を線で結んでマップを仕上げる
- 4.マップを俯瞰し、主要な感情を3つ選ぶ
- 多くの線がつながっている付箋に着目し、方向性の異なる主要な感情を3つ選ぶ
- 5.エモーショナル・モチーフを設定する
- それぞれの感情に対して、より適切な、いくつかのキーワードを洗い出し、エモーショナル・モチーフとして設定する
【図 :1】エモーショナル・モチーフ
米国ドイレスタウン病院のヘルス&ウェルネスセンターは、“Understood(理解してもらえる), Strengthened(力づけられる), Renewed(新たな気持ちになる)” というエモーショナル・モチーフを設定し、 200 以上の施策を展開しました。
当初、プロジェクトチームは“Important (重要), Healthy(健康), Comfortable(快適)”というエモーショナル・モチーフを設定しようとしていましたが、より高い価値を提供するために、よりインスピレーションが湧く言葉に変更したそうです。言葉としての違いは微妙なものであっても、その微妙な違いで患者さんの期待をより強いものにすることができます。患者さんのインサイトを十分に検討し、エモーショナル・モチーフを設定するようにしましょう。
chapter 05.患者さんの体験をデザインする
- 05-17 患者さんに満足のいく体験を提供するポイント
- 05-18 エモーショナル・モチーフを設定する
- 05-19 アイデア・ワークショップを開催する
- 05-20 発想ツールを使う
- 05-21 アイデアを選ぶ