ペルソナを作る

ペルソナは、分類した患者さんのタイプごとに、一人の物語形式で描き出した人物モデルです。ペルソナを作ることで、誰の、どのような問題を解決しようとしているのかを常に明確にしておくことができます。一人の患者さんに焦点を当てて患者さんの経験を深く考えることができるので、患者さんにとって一貫性のある施策を検討しやすくなります。以下の項目を盛り込んで、観察やインタビューで得たインサイトをペルソナの形に仕上げていきましょう。当然のことですが、ペルソナは究極の個人情報です。万が一にもデータ漏れなど起こさぬよう、細心の注意を払いましょう。

【顔写真】
人間は顔の表情を介して、相手の考えや気持ちを理解します。顔写真はペルソナに感情移入するきっかけを作ってくれます。証明写真や不自然な写真は避け、現実味のある写真を使いましょう。人物の背景に実際の状況がイメージできる環境が写っているとより効果的です。
【プロフィール】
名前、性別、年齢、職業、年収、居住地などの基本データを顔写真の下に配置します。プロフィールで一番重要なのは名前です。分類したタイプに即した名前をつけるなど、記憶に残りやすい名前をつけましょう。タレントの名前などをつけると、そのタレントの性格に引っ張られてしまうのでNGです。
【ゴール】
患者さんが得たい結果(エンドゴール)を3つ、患者さんがなりたい気持ち(エモーショナルゴール)を1つ、患者さんがなりたい自分、理想の状態(ライフゴール)を1つ書き込みます。ゴールに沿って問題を解決していくので、患者さんのゴールはペルソナに欠かせない最も重要な要素です。
【セリフ】
ペルソナの生のセリフとして、ペルソナのエッセンスを一言で表現します。セリフは、自分で創作するのではなく、患者さんが実際にインタビューで語った印象的な言葉を抜き出して使うと説得力があります。セリフを通じてペルソナの人柄が伝わってくるようにしましょう。
【物語】
観察やインタビューを通じて得たインサイトを埋め込みながら、患者さんが何を考え、何を感じているのか、ペルソナのゴールをめぐる物語を作ります。物語の要素としては、背景・状況、行動・態度、信念・価値観、知識・経験、不安・恐怖、ストレス・フラストレーションなどが含まれます。
【ペルソナの数】
ニーズやインサイトによって分けられた患者さんのタイプごとにペルソナを作成し、各々に求められるアイデアや施策を考えることが理想です。【図:1、図:2、図:3、図:4】
ただし、プロジェクトによっては、優先順位を付けた上で、ペルソナを1つに絞り、アイデアや施策を検討することもあります。

【図:1】患者さんの待ち時間を3タイプに分類した例

【図:1】患者さんの待ち時間を3タイプに分類した例

【図:2】ペルソナ作成例(来院回数が少なく待合室で不安を感じるタイプA)

【図:2】ペルソナ作成例(来院回数が少なく待合室で不安を感じるタイプA)

【図:3】ペルソナ作成例(来院経験があるが待合室で、いらいらしているタイプB)

【図:3】ペルソナ作成例(来院経験があるが待合室で、いらいらしているタイプB)

【図:4】ペルソナ作成例(来院経験が豊富で待合室で退屈しているタイプC)

【図:4】ペルソナ作成例(来院経験が豊富で待合室で退屈しているタイプC)

Tool Box からペルソナのサンプル(上記とは別の例の、うつ病患者さんのペルソナです)がダウンロードできます。このペルソナは、当コンテンツのための架空のペルソナであり、実在の人物ではありません。

ペルソナのサンプル(上記とは別の例)がダウンロードできます。

その他ツール(共感マップ、ペルソナ、ワークショップガイドなど)もご利用いただけます

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