患者さんにインタビューする

インタビューには、大きく2通りの聞き方があります。

【クローズエンドクエスチョン】
「待ち時間は苦痛ですか?」など、はい/いいえで答えられる質問
【オープンエンドクエスチョン】
「待ち時間について詳しく教えてください」など、待ち時間に体験したことや、感じていること、工夫など、思ったことを自由に話すことができる質問

患者さんの考えや気持ちを深く理解する探索型のインタビューにはオープンエンドクエスチョンを使います。探索型のインタビューの基本は「共感」です。そこで必要になるのが傾聴です。積極的に耳を傾けることで、患者さんに話をしてもらいやすい雰囲気を作ります。相槌や顔の表情、姿勢、視線などのボディランゲージを通じて、相手の話に興味を持って真剣に聞いていることを伝えましょう。
オープンエンドクエスチョンにおいて、インタビューのエキスパートはラダーリングというテクニックを使います。ラダーとは梯子のことで、梯子を登ったり、下ったりするように質問を重ねていくという意味です。

【ラダーアップ】
梯子を登っていく質問。「それは●●さんにとってどのような意味がありますか?」「それは●●さんにとって、どうしてそんなに重要なのですか?」「そうしよう(or しないでおこう)と思われるのはどうしてですか?」といった質問を重ねていくことで、どんな結果が得たいか(=エンドゴール)、どんな気持ちになりたいか(=エモーショナルゴール)、どんな自分でありたいか(=ライフゴール)を紐解いていく
【ラダーダウン】
梯子を下っていく質問。「そのように思われるのは、具体的にどのようなときですか?」「そういう状況を具体的に挙げていただけますか?」「それが起こる前にはどのようなことが起こりますか?」など、具体的な状況や要因を探っていく質問を重ねていく

【図:1】ラダーアップ/ラダーダウン

【図:1】ラダーアップ/ラダーダウンの図

回答者が言葉にしにくい深い考えや気持ちを引き出したいときは、メタファー(暗喩)を使って質問してみるのもいいでしょう。
例)
【質問者】「病院の待ち時間を別のものに喩えると何に似ていますか?」
【患者さん】「電車が止まって車内に閉じ込められたとき」
【質問者】「電車が止まって車内に閉じ込められたときと病院の待ち時間はどんなところが似ていますか?」
【患者さん】「何が起こっているのかがさっぱりわからず、イライラするところ」
【質問者】「何が起こっているのかがさっぱりわからないと、どうしてイライラするのですか?」
など、ラダーアップの質問につないでいく。

本格的なインタビューでは、患者さんが安心できる環境で、1〜2時間程度かけて実施するのが一般的ですが、十分な時間を確保するのは簡単ではありません。インタビュー自体は、よい聞き手になって対話することで成り立ちますので、患者さんとの日々のやり取りの中にオープンエンドな質問を取り入れていくことを検討してみるのもよいでしょう。

PDF形式のインタビューガイドをダウンロード頂けます。

その他ツール(共感マップ、ペルソナ、ワークショップガイドなど)もご利用いただけます

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