共同で共感マップを作る

共感マップは、共感する対象者への理解を深め、共有するツールです。共感マップの対象者を患者さんとすることで、 患者さんへの深い理解を関与者全員で共有することができます。メンバーを集めて、大きな紙に共感マップのシートを貼り出す、ホワイトボードにフォーマットを描き写すなど、共同で作業できる環境を用意して、付箋を使ってワークショップ形式で仕上げていきます。

【図:1】共感マップ

<手順>

1. 共感する対象(主人公)を決める
はじめに、共感マップの主人公を決め、プロフィール、おかれている状況、役割(患者さんなど)を付箋に書いて貼り出します。
(例)対象を患者さんとする場合は、病歴や症状、家族構成など症例にあたる情報を記載します。
2. 共感する対象(主人公)のゴールを洗い出す
次に、主人公がどのような結果を得たいのか、主人公に何を達成して欲しいのか、ゴールを洗い出します。
(例)対象を患者さんとする場合のゴールは、例えば、自立歩行が出来るようになるという直近のゴール(エンドゴール)もあれば、自尊心を持てる(エモーショナルゴール)や、困っている人の役に立てる(ライフゴール)という上位概念のゴールもあります。(詳しくは、chapter02-05 提供者の視点と患者さんの視点の違い
3. 観察する、聞く、書き出す
ゴールを明確にしたらまずは観察できることに集中し、時計回りで作業していきます。「何を見てる?」「何と言ってる?」「何をやってる?」「何を聞いてる?」の順です。自分のレンズを外して患者さんなど対象者の行動を写し取る作業を進めることで、共感する対象の方が何を感じているのか、深く共感できるようになってきます。相手の動きに集中することでその人の感じている感覚に近づいていくミラーのプロセスと同じです。
(例)対象を患者さんとする場合は、例えば受付を待っている患者さんは、何を見ているか、何を言っているか、何をやっているか、何を聞いているかを、自分のフィルターを外して相手の動きや発言に集中して感じ取っていきます。
4. 何を考え、感じているか?(ペイン、ゲイン)を書き出す
観察できる要素を貼り出したら、患者さんなど共感する対象者の頭の中に入って「何を考え、感じているか?」想像しましょう。ペインには、対象者が恐れていることやイライラすること、ゲインには、対象者が夢見ていること、ワクワクすることを書き込みます。
(例)対象者が受付を待っている患者さんの場合、することがなくて退屈、受付スタッフの仕事の仕方が気に入らない、呼ばれたらすぐに返事ができるようにしている、自分の順番が忘れられていないか心配、などを観察結果から想像して書き込みます。

ここまで書き込んだら、もう一度ゴールに戻りましょう。主人公が本当に得たい結果は何でしょうか?主人公のエモーショナルゴール、ライフゴールは何でしょうか?共感マップ全体を眺めながら、主人公のゴールについて話し合い、共感マップを仕上げていきます。

画像形式の共感マップをダウンロード頂けます。

その他ツール(共感マップ、ペルソナ、ワークショップガイドなど)もご利用いただけます

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