インプロで共感力を鍛える

患者さんのゴールを深く理解するには「共感」が必要になります。ヘルスケアサービスの根本は人間愛にありますから、「共感」はヘルスケアサービスの提供者にとって欠かせないソフトスキルだといえます。

ヘルスケアサービスの患者さんに「共感」するには、治療、介護、支援の対象者という見方を超えて、一人の顧客、一人の人間としての患者さんに感情移入することが求められます。ところが、ヘルスケアサービスの提供者にとっては、サービスを提供する際の専門知識や、使命感としての人間愛が、逆に患者さんへの感情移入を難しくしてしまうことがあります。

わたしたちは誰もが、何らかのレンズを通して物事を理解しています。ヘルスケア提供者であれば、その人が持っている「ヘルスケア」というレンズを通して患者さんを理解しています。このレンズをかけたままでは、患者さんに共感することはできません。共感するということは、自分が使っているレンズを外して、患者さんが持っているレンズで物事を理解することだからです。

患者さんに共感するスキルを高めるには、自分のレンズを外す訓練、患者さんのありのままを受容する訓練が必要になります。そのためのトレーニング法として、インプロ(インプロバイゼーション:即興)を使ったゲームをお勧めします。

まずは誰でもすぐにできる「ミラー」というゲームに挑戦してみてください。ルールはとても簡単で、2人がペアになって、一人が人間役、もう一人が鏡役になります。人間役の人がゆっくり動くと、鏡役の人はそれに合わせて動きます。数分毎に役割を入れ替え、同じことを何回か繰り返します。身体の動きだけではなく、顔の表情、そして顔の表情の裏にある感情も写し取っていくようにすると、その人のように感じる感覚に近づいてきます。こういったトレーニングを繰り返すことで、自分のレンズを外して一人の顧客として患者さんを受容するマインドセットが身につくようになります。

インプロ手法紹介動画

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