提供者の視点と患者さんの視点の違い

サービスの提供者は、患者さんが具体的に得たい結果(=エンドゴール)を得るためにどのような支援をするのが最適かを考えます。その時に見過ごされがちなのが、患者さんはどんな気持ちになりたいか(=エモーショナルゴール)、どんな自分でありたいか(=ライフゴール)という視点です。【図:1-a】

【図:1-a】3つのゴール

例えば、患者が得たい結果が「自立歩行できるようになる」の場合、提供者は、どのようにすれば自立歩行できるようになるか、具体的な手段に焦点を当てます。しかし、具体的な手段自体はよかったものの、患者さんがリハビリを続けてくれなかったので結果が出せなかった。こういったケースが少なくありません。
このようなケースの場合、提供者が「自立歩行できるようになる」というエンドゴールを直線的に追求するだけではうまくいきません。自立歩行できるようになる、あるいは自立歩行の訓練をする過程で、患者さんがどんな気持ちになりたいか(=エモーショナルゴール)、どんな自分でありたいか(=ライフゴール)という患者さんのモチベーションをより深いレベルで理解し、そのモチベーションを「自立歩行できるようになる」というモチベーションと結びつけて手段を検討していく必要があります。【図:1-b】

【図:1-b】3つのゴール

患者さんのエンドゴールは、治療、介護、支援の段階とともに変化していきますが、患者さんの身体的な状態が変わっても、エモーショナルゴールやライフゴールが大きく変わることはありません。サービス提供者が連携して患者さんのゴールを深いレベルで共有し、エモーショナルゴールやライフゴールに沿って患者さんとコミュニケートすることができれば、患者さんの体験はよりよいものになっていきます。

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