HX Catch Up:経産省の「デザイン経営」宣言とシンガポール政府の全病院への「デザイン思考」導入推進について


執筆者: 株式会社大伸社 コミュニケーションデザイン
代表取締役 上平泰輔
執筆日:2019.1.08


2018年5月に経済産業省・特許庁が、「デザイン経営」宣言を出されたことはご存知でしょうか?

2018年5月に経済産業省・特許庁が、デザインによる我が国企業の競争力強化に向けた課題の整理とその対応策の検討結果を、『「デザイン経営」宣言』とした報告書にまとめられました。 公表されている全文は、以下出典1リンクのPDFの通りですが、内容は「デザイン経営」はブランド力とイノベーション力を強め企業競争力の向上につながる。海外に比べ日本はまだ導入が遅れているので推進しましょう、というものです。

〔出典:「デザイン経営」宣言(経済産業省・特許庁)〕
http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf

また、当宣言の中では、「デザイン経営」の投資対効果についても、以下のように記されています。

顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、それが⼀貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。
さらに、デザインは、イノベーションを実現する力になる。なぜか。デザインは、⼈々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもあるからだ。供給側の思い込みを排除し、対象に影響を与えないように観察する。そうして気づいた潜在的なニーズを、企業の価値と意志に照らし合わせる。誰のために何をしたいのかという原点に⽴ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想できる。
このようなデザインを活⽤した経営⼿法を「デザイン経営 」と呼び、それを推進することが研究会からの提⾔である。

また、当宣言の中では、「デザイン経営」の投資対効果についても、以下のように記されています。

「デザイン経営」は、そのリターンに見合うだろうか。各国の調査は「YES」であることを示している。欧米ではデザインへの投資を行う企業パフォーマンスについての研究が行われている。それらはデザインへの投資を行う企業が、高いパフォーマンスを発揮していることを示している。 例えば、British Design Councilは、デザインに投資すると、その4倍の利益を得られると発表した。また、Design Value Indexは、S&P500全体と比較して過去10年間で2.1倍成長したことを明らかにした。その他の調査を見ても、「デザイン経営」を行う会社は高い競争力を保っていることがわかる。これがデザインを取り巻く世界の常識となっている。一方、日本の経営者がデザインに積極的に取り組んでいるとは言い難い。

この「デザイン経営」宣言に関連して、シンガポールの医療分野における一例を紹介したいと思います。

シンガポールでは、政府機関である、デザインシンガポール・カウンシルが旗振り役となり、すべての病院が「デザイン思考」の研修を受け、今では病院には必ずデザイン部門が設けられ顧客体験の設計や改善を行っており、病院で何か新しいプロジェクトを始めるときは必ず「デザイン思考」のツールを使っている、とのことです。 『DBICパートナーインタビュー』に詳しい情報が掲載されていますが、そのインタビューで、フレッシュリーグラウンド社 シャン・リム氏が、病院における「デザイン思考」導入の狙いを以下のように述べています。

シンガポールでも高齢化は深刻で、多くの病院が患者で溢れています。混雑しすぎているのです。そこで、患者の本当のニーズはどこにあるのかをリサーチするツールを開発し、病院内のスペースや建物の設計、そしてサービス内容に反映させています。

〔出典:DBICパートナーインタビュー〕
https://www.dbic.jp/professors/fground

日本のヘルスケア分野においても、「デザイン経営」「デザイン思考」の動きが本格的に来る、いや、すでに来ているのではないでしょうか?

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