【Web Excellent Pharmacy 第7回】Risk Management - 薬剤師以外のスタッフへのタスクシフトはどうあるべきか ~0402通知が薬局業務に及ぼす影響~

赤羽根 秀宜 弁護士

中外合同法律事務所

赤羽根秀宜弁護士

薬剤師以外のスタッフが、これまで薬剤師が受け持ってきた「薬を扱う」仕事の一部に、携わっても良い、と解釈できる厚労省の通知が発出された。平成31年4月2日の厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知、いわゆる「0402通知」である。

これまでグレーゾーンとされてきた、薬剤師の指示のもとに行われる業務の一部についての公式見解が出された形だ。

薬剤師の資格を持つ赤羽根秀宜弁護士(中外合同法律事務所)は、「この通知は、積極的に『薬剤師以外のスタッフが薬を扱う業務をやりなさい』という意味ではなく、組織内統制を確保し法令遵守体制を整備した上で、薬剤師が調剤に最終的な責任を有するということを前提として行うことを示したものです。よく理解せずに安易にタスクシフトを行うと、法に触れてしまう可能性は十分にあるので注意が必要です」と述べている。

0402通知のどこを、どう読み解くべきかを改めて伺った。

薬機法改正と0402通知

今回(2019年)の薬機法改正は、薬剤師および薬局の業務のうち対人業務の体系的なあり方が法制化されたということで話題となっている。

「住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師・薬局の在り方の見直し」として、薬剤師による継続的な服薬状況の把握及び服薬指導が義務とされた。

具体的には、薬剤師法第25条の2第2項で、薬剤師に対して、薬剤の適正使用のため必要な場合は、継続的かつ的確な服薬状況の把握とともに指導等を行う法的な義務を課す。また、薬機法においては、薬局開設者に対しても、薬局薬剤師に調剤時だけでなく、継続的かつ的確な服薬状況の把握及び指導等を行わせる義務を課すというものだ。

赤羽根氏は次のように解説する。「薬を出すときだけでなく、服用期間中必要な人に対しては積極的にフォローしなさい、もし怠って副作用が悪化したら、義務違反となり法的な責任を負う可能性がある、ということを意味する法改正です。さらに薬局開設者には、薬局で働く薬剤師に服薬期間中のフォローを行わせる義務を課されますので、それができる業務体制を整えていかなければならない。実に大きな意味のある改正なのです」。

平成27年の「患者のための薬局ビジョン」を契機として、薬局・薬剤師の仕事は、調剤という薬を扱うことが中心の対物業務から、服薬指導や健康サポートなどの対人業務へ移行することが明確化してきた。しかし現状でも現場の多忙さは限界に近く、新たな業務が重なることは、薬剤師の仕事の「ブラック化」につながりかねない。そこで、「対物」業務をどう効率化し軽減していくかというところに焦点が当てられている。

「そこに出たのが、今回の0402通知(薬生総発0402 第1号 平成31年4月2日)です。対物業務の一部を薬剤師以外のスタッフにシフトしていく道筋を公的に示したものと言えます。医師から薬剤師への業務シフトがあるとともに、薬剤師から薬剤師以外のスタッフに薬にかかわる対物業務の一部をシフトする、という流れでもあるでしょう」と話す。

0402通知の内容とは

0402通知は、その中で平成 28 年度厚生労働科学特別研究事業「かかりつけ薬剤師の本質的業務と機能強化のための調査研究」や厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」(平成30年12月25日)に触れ、「調剤業務のあり方について、薬剤師が調剤に最終的な責任を有することを前提として、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的な考え方」について整理し、業務の参考とするようにとの意図で公表されたものであり、その内容は表に示した通りである。

(表)調剤業務のあり方について(薬生総発 0402 第1号)

1 調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、以下のいずれも満たす業務を薬剤師以外の者が実施することは、差し支えないこと。なお、この場合であっても、調剤した薬剤の最終的な確認は、当該薬剤師が自ら行う必要があること。

  • 当該薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること
  • 薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質等に影響がなく、結果として調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがないこと
  • 当該業務を行う者が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること

2 具体的には、調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、当該薬剤師の目が届く場所で薬剤師以外の者が行う処方箋に記載された医薬品(PTPシート又はこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える行為、及び当該薬剤師以外の者が薬剤師による監査の前に行う一包化した薬剤の数量の確認行為については、上記1に該当するものであること。

3 「薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」(平成27年6月25日付薬食総発 0625 第1号厚生労働省医薬食品局総務課長通知)に基づき、薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、引き続き、薬剤師法第19条に違反すること。ただし、このことは、調剤機器を積極的に活用した業務の実施を妨げる趣旨ではない。

4 なお、以下の行為を薬局等における適切な管理体制の下に実施することは、調剤に該当しない行為として取り扱って差し支えないこと。

  • 納品された医薬品を調剤室内の棚に納める行為
  • 調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カート等へ入れる行為、電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する行為
  • 薬局において調剤に必要な医薬品の在庫がなく、卸売販売業者等から取り寄せた場合等に、先に服薬指導等を薬剤師が行った上で、患者の居宅等に調剤した薬剤を郵送等する行為

5 薬局開設者は、薬局において、上記の考え方を踏まえ薬剤師以外の者に業務を実施させる場合にあっては、保健衛生上支障を生ずるおそれのないよう、組織内統制を確保し法令遵守体制を整備する観点から、当該業務の実施に係る 手順書の整備、当該業務を実施する薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修の実施その他の必要な措置を講じること。

薬剤師法19条を改めて考える

「0402通知の意義は、通知本文にも書いてある通り、薬剤師法第19条の『薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない』をどう解釈するかということです。これまで『薬剤師以外は調剤室に入ってもいけない』等解釈に幅があった中で、厚生労働省の見解が示されたわけですが、ピッキングはOKとなった等、例示の部分だけ取り上げるのは問題があります」。

赤羽根氏はこのように警鐘を鳴らしたうえで、以下のように指摘する。「通知に示された5点のうち、1~3は、調剤に関する業務を薬剤師以外が行って差し支えない(薬剤師法19条に抵触しない)場合について明記してあります。具体的に示している2、3の部分に目がいってしまいがちですが、3要件を示す1が最もきちんと踏まえなければならない点であり、業務フローを見直して、3要件に当てはめていく作業がまずは必要となりそうです」。

一包化は薬剤師以外でも大丈夫か?

0402通知以後よく聞かれるのが、「薬剤師以外のスタッフは、この通知に照らせば一包化を行って良いのか」という議論である。

赤羽根氏は、「『一包化ができるのかどうか』という議論は適切でない」と強調する。「一包化の作業は一つだけでなく様々あるわけで、どのような作業で成り立っているかを分解し、『どうすれば3要件に当てはめられるのか』と考えるべきなのです」。

そのように考えていくと、「各店舗の運用によって、判断が違ってくることもありうるのが0402通知です」と赤羽根氏。

「あそこの店で薬剤師以外にさせている業務だからうちでもできる、という安易な考えではいけないのです。おなじ業務でも、店が違えばおのずから業務フローは違うものです。要件1の『薬剤師の指示』および『薬剤師による最終的な確認』はどこにどう入るのか、患者に危害の及ぶことがない運用にどうできるか、などを考える必要があります。また業務が忙しくなったときに、そこを飛ばしてしまうことがないようにするにはどう業務を組み立てていくか。また薬局の開設者にとっては、どのように環境設定を行い、業務の手順書を組み立てるか、そして『薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修』などの措置をどう講じるか。このあたりも熟考する必要があります」。

薬局全体での意識の統一が重要

多くの店舗では、薬局のスタッフ、薬剤師と薬剤師以外が全員で確認し、共通の認識を持つ必要がある、場合によっては業務のフロー図を改めて作成することも検討する必要がある。

「業務の一連の流れを見ながら、調剤に関する業務なのか、調剤と関係のない業務なのか、そのうち薬剤師でなければできない業務、適切な管理体制のもと薬剤師以外の者でも行える業務、薬剤師の責任のもと要件を充足すれば薬剤師以外の者が行える業務というように業務を振り分けし、適法な運用を構築し、その運用をスタッフ全員に周知することがとても重要になります」。

通知3の「軟膏、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為」は薬剤師の確認があってもNG、というのは誰もが理解するところだ。だが、4の「納品された医薬品を調剤室内の棚に納める行為」などについても、注意を要する。「なぜならこれらの行為は『薬局等における適切な管理体制の下に実施すること』という但し書きがついているからです。読み飛ばしてしまいがちな部分なので、特に職場内での意識付けが必要です」と赤羽根氏は話す。

薬局開設者には厳しい通知

通知の5は、薬局開設者への指示である。具体的に、業務の実施にかかわる手順書の整備と、薬剤師以外のスタッフに対する教育に当たる研修の実施等を挙げている。

「どのような手順書をつくり、誰に対してどんな研修を行えばよいかなどの細かい点は通知には書かれていません。作った手順書通りにシステムを運用できるのかも重要なポイントです。運用の定期的なモニタリングも必須です」。

手順書の運用とそのモニタリングができるためには、現場に携わるスタッフにも相当の知識が必要とされる。

「薬剤師以外のスタッフへの研修が必要ということは、指示する薬剤師にもきちんと法令に関する知識を持っているのかが問われます。実質的には薬剤師への研修も必要になるでしょう。現場全体の内部統制の強化という点で、薬局開設者に大きなプレッシャーがかかっていると思います。『薬剤師以外のスタッフに業務を振れるので楽になる』といった言説も散見されますが、その体制の整備は容易ではないでしょう」。

記録類の重要性はさらに増す。何よりも、法改正および0402 通知の要である、対人業務、継続的な服薬指導等の方法や実際の動きを考え、充実させなければならない。乗り越えた先には、患者からの信頼度の上昇、薬局・薬剤師の存在意義の向上があるはずだ。