【Web Excellent Pharmacy 第6回】Community Pharmacy - ベガファーマ株式会社

久野 泰弘

ベガファーマ株式会社/代表取締役社長

久野 泰弘氏

藤井 規代 氏(エリアマネージャー)
妹背 由紀子 氏(アロマアドバイザー)

藤井 規代氏、妹背 由紀子氏

「くるみ薬局は、地域密着型のかかりつけ薬局を目指すチェーン店です」

http://www.kurumi-ph.jp
株式会社マル・コーポレーション ロゴ画像

大阪・兵庫を中心に店舗展開し医療モールの企画開発も進める

「あなたの健康生活のベストアドバイザー」をコーポレートスローガンに掲げ、大阪・兵庫エリアを中心に『くるみ薬局』を30店舗展開。従業員263名(うち薬剤師は158名)が従事する保険薬局グループ、ベガファーマ株式会社。

平成4年、大阪府藤井寺市の総合病院横に院外薬局として『くるみ薬局』1号店を開局。その後、門前やマンツーマンを中心に店舗を展開してきたが、10年前からそれと並行して医療ビルや医療モールの企画開発も行い、クリニックを誘致するなどして、年1~2件の新規開設を進めている。

「地域密着型の『かかりつけ薬局』を目指し、多職種連携を図りながら在宅医療等にも取り組んで参りました。急速に進む高齢化、高ストレス社会。これからの薬局は、患者さんひとりひとりの気持ちや背景を察し、メンタルな部分でもサポートしながらより一層のQOLの向上に貢献していくことが大事だと考えています。弊社では薬をお渡しすることに付加価値をつけ、処方せんを持っていない方でも気軽に立ち寄り、相談していただけるような薬局づくりを目指しています」と代表取締役社長の久野氏は語る。

アロマテラピーを使った予防・補完医療の提案で付加価値づくり

そのために現在、『くるみ薬局』5店舗で導入しているのが、メディカルアロマテラピーだ。香りのリラックス効果を通じて、予防や補完医療の提案を積極的に行っている。

「私自身、オイルトリートメントを受けた時にとても癒されたのがきっかけです。同時期にアロマテラピーのスクールを経営している会社さんとご縁があり、欧米の薬局では医療分野でアロマが扱われている背景を詳しく伺いました。欧米で、認知症予防や終末期の痛みを緩和すると言われる香りもあり、薬局との結びつきを感じたのです。また、この話をしたところ、かなりの社員が興味を示してくれたので、導入を決めました」。

全体研修の他に、導入店舗では全てのスタッフが業務提携をしているアロマテラピースクールの講習(3時間×4回)を受け、誰でも対応出来る体制を整えている。

その中でもインストラクター資格を取得した藤井規代氏は、薬局でのアプローチについて次のように話す。「以前から睡眠に関して寝付けない、途中で起きてしまうなど睡眠障害を持つ方、睡眠導入剤を飲み続けることに不安を感じている患者さんから相談を受けることが多くありました。導入後は、そのような相談を受けた時に、欧米の薬局で行われているメディカルアロマの実績を参考にしながら、お悩みを聞き取り、『一度、お試しをしてみませんか』という形で提案をしています。アロマのお話をきっかけに自然と会話も膨らみ、患者さんの家族構成や背景もヒアリングしやすくなったので服薬指導にも活かしています」。

また、アロマアドバイザーとして活躍されている妹背由紀子氏は、ハンドメイドのアロマ作品を展示し、生活に取り入れやすい利用法を提案している。「楽しみながらストレス解消などに役立てられることをお話しすると、ご家族やご友人を想い興味を持たれる方も多いです」。

入り口付近にアロマオイルの棚を設置したり、看板や店頭に『Aroma』の文字を掲げることで、処方せんがなくても気軽に来局されるお客様が増えた。相談内容は睡眠障害の他にも、介護を受けているが部屋の匂いが気になる、ストレスを軽減したいなど悩みの幅は広い。

アロマオイル棚

アロマオイル棚

「Aroma」記載の看板

「Aroma」記載の看板

地域に合わせた健康イベントを多数開催

導入店舗では、定期的にアロマイベントを開催している。アロマの基礎となる精油の試香や取り扱いなどを学んで頂き、重曹パウダーを使った香り袋やルームスプレー作りなどの体験が好評だ。また、出張アロマとして有料老人ホームに出向き、入居者を対象とした体験会や看護師・職員にハンドトリートメントの講習も行なっている。

老人ホームでのアロマスプレーの作成

老人ホームでのアロマスプレーの作成

重曹アロマパウダー作成体験イベント

重曹アロマパウダー作成体験イベント

「介護施設に3台。クリニックに2台、アロマディフューザーを設置しています。アロマテラピーは地域の皆さんに快適に暮らしていただける一つの方法だと考えています」と久野氏。

その他にも地域活動として、健康フェアなど各店舗で様々なイベントを開催している。上野芝店では毎月3日を『くるみの日』として季節に応じたイベントを継続的に開催。

くるみの日(アロマ虫よけスプレー)

くるみの日(アロマ虫よけスプレー)

くるみの日(認知症サポーター養成講座)

くるみの日(認知症サポーター養成講座)

イベントは、体力測定、肌チェック、ロコモ度チェック&体操など薬局を利用する層に応じて各店で企画を行なっている。現在実施している店舗は10店舗。各店舗では年に1~2回の開催を目指しており、実施店舗も順次増やしていく予定。

毎年人気のイベントが、夏休みに開催している河内長野店の『キッズファマシー』だ。久野氏は、「薬局内で、調剤がどのように行われているのかを知っていただくことと、薬剤師の仕事に興味を持っていいただくために行っています。メーカーから新品の分包機をお借りして行う、ラムネやチョコレートの一包化や、ジュースを混ぜて行う製剤づくりなど、アミューズメント性を持たせて体験をしてもらいます。材料費をいただいていますが、毎年予約で定員に達してしまうほど好評をいただいています」。

藤井寺店では、店頭でLINEの登録を呼びかけし、『くるみ通信』として健康フェアやクラフト、アロマや季節の健康情報を定期的に発信している。また、現在、アロマテラピーを知っていただくためにドクター監修の冊子を製作中(2019年11月には完成予定)で患者さんや高齢者施設を中心に配布し、アロマの取り扱いをアピールしていく予定。

「地域の中で継続して来ていただける薬局になるためには、ここにしかないという付加価値がないと選択してもらえる薬局、薬剤師にはなれないのではないでしょうか。今は、アロマやイベントを通して薬局のファンを作ることが大事な時期だと考えています」と久野氏は話す。

医療人としてのプロフェショナルを育成する研修、サポート制度が充実

「企業は人なり」と言う考えのもと、医療人としてのプロフェッショナルを育成することに力を入れてきた同社では、新入社員から管理職までそれぞれのステージに合わせた研修プログラムを整えている。

「新人研修では、合同研修後にOJT研修を行なっています。店舗配属後、専属のプリセプターが中心となって、日常業務をメインに、患者さまへの対応を半年間、実践的に学んでいただきます。また、調剤業務だけに偏らないように業務提携先の外部研修も多く入れているのが弊社の特徴だと思います」と久野氏。

社内には6つの委員会(学術、OTC、在宅、安全、事務、レクリエーションなど)が設置されており、学術委員会では、社内の研究成果を様々な学会で発表することに積極的に取り組んでいる。学会の参加費やその他、認定資格取得、e-ラーニングの受講料などのサポート制度もあり、新人から継続して生涯学習ができる環境が整えられている。

新たに無菌調剤室を設置、今後は「高度医療型」薬局づくりも進めていきたい

久野氏は、「これまでのように薬局数が増える時期は終わり、薬局の淘汰が始まっています。行政が推進する地域包括ケアの中で、薬局の地域における役割が示され、調剤だけでは生き残りが厳しくなっていますが、弊社はアロマ・健康フェアなどのイベントを活用しながら地域住民の健康サポートをしていく、薬物療法を一元管理する『地域密着型』薬局を増やしていくと共に、がんなどの薬物療法を想定し高い専門性を持つ『高度専門型』の薬局も開設し、患者・住民の様々なニーズに対応できるようにしていきたいと考えています。今年2月に移転オープンした藤井寺店には、当社として初めて無菌調剤室を完備しました。これからは地域で他職種連携を取りながら、チーム医療、地域貢献を深めていく時代です。無菌調剤室は、まずは弊社の薬剤師の研修で使用し、稼働ができる体制を整え、その後、近隣の薬局にもご活用いただけるよう薬薬連携を進めて、地域全体への貢献が出来るようにしていきたいと思っています」と今後の展望を話された。