パーキンソン病の“運動緩慢”におけるトレリーフの有用性

パーキンソン病の臨床診断基準・運動緩慢評価スケールとトレリーフの臨床試験成績

パーキンソン病の臨床診断基準

<パーキンソニズムの定義>

運動緩慢がみられることが必須であり、加えて静止時振戦か筋強剛のどちらか1つまたは両方がみられるもの。

    1. 臨床的に確実なパーキンソン病(clinically established Parkinson’s disease)

      パーキンソニズムが存在しさらに、

    2. 絶対的除外基準に抵触しない。
    3. 少なくとも2つの支持的基準に合致する。
    4. 相対的除外基準に抵触しない。
    1. 臨床的にほぼ確実なパーキンソン病(clinically probable Parkinson’s disease)

      パーキンソニズムが存在しさらに、

    2. 絶対的除外基準に抵触しない。
    3. 相対的除外基準と同数以上の支持的基準がみられる。ただし、2つを超える相対的除外基準がみられてはならない。

日本神経学会 監修. パーキンソン病診療ガイドライン2018(医学書院)2-3頁

運動緩慢の評価スケール

UPDRS PartⅢの項目のうち、運動緩慢に関する項目は「指タップ(左・右)」、「手の運動(左・右)」、「手の回内回外運動(左・右)」、「下肢の敏捷性(左・右)」、「運動緩慢と運動減少」と報告されております。

PUDRS Part3の運動緩慢に関する項目

第Ⅲ相試験(検証試験)

最終評価時UPDRS Part Ⅲ合計スコア変化量 【主要評価項目】

本剤は一部承認外の成績を含む臨床成績に基づき承認されました。紹介する臨床成績の50㎎群には、wearing offを発現していない患者が含まれます。
パーキンソン病における承認された用法・用量「通常、成人にゾニサミドとして、1 日1 回 25mgを経口投与する。なお、パーキンソン病における症状の日内変動(wearing off 現象) の改善には、1 日1 回 50mgを経口投与する。」

最終評価時におけるUPDRS Part Ⅲ合計スコア変化量は、トレリーフ25mg群-5.9±0.9、50mg群-5.5±0.9、プラセボ群-2.9±0.9で、トレリーフ25mg群でプラセボ群に比べ有意な改善が認められ、優越性が検証されました。

最終評価時UPDRS Part Ⅲ合計スコア変化量 【主要評価項目】

Murata, M., et al., Randomized Placebo-controlled Trial of Zonisamide in Patients with Parkinson's Disease,
neurology & clinical neuroscience, 4(1): 10-15, 2016. © Japanese Society of Neurology and John Wiley & Sons Australia, Ltd

最終評価時UPDRS Part Ⅲ下位項目スコア変化量 【副次的項目】

本剤は一部承認外の成績を含む臨床成績に基づき承認されました。紹介する臨床成績の50㎎群には、wearing offを発現していない患者が含まれます。
パーキンソン病における承認された用法・用量「通常、成人にゾニサミドとして、1 日1 回 25mgを経口投与する。なお、パーキンソン病における症状の日内変動(wearing off 現象) の改善には、1 日1 回 50mgを経口投与する。」

トレリーフ25㎎/日群は、UPDRS Part Ⅲ下位項目の「19.顔の表情」、「23.指タップ(右)」、「25.手の回内回外運動(右)」、「31.運動緩慢と運動減少」を有意に減少しました。

最終評価時UPDRS Part Ⅲ下位項目スコア変化量 【副次評価項目】

評価されたスコアが全てゼロ又は不採用である被験者のデータは除外して集計した。
投与群を固定効果、ベースライン値を共変量とする非分散分析モデルを用いて算出した
検定:Dunnett検定(プラセボとの比較) * p<0.05
1群の解析対象例数が5例未満の分類では群間比較を行わなかった。

承認時評価資料:レボドパ製剤による治療で十分な効果が得られていないパーキンソン病患者を対象とした第Ⅲ相試験

【参考】UPDRS PartⅢ 運動能力の項目

UPDRS PartⅢ 運動能力の項目
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安全性

安全性評価対象189例中、副作用はトレリーフ25mg群で63例中19例(30.2%)27件、50mg群で63例中22例(34.9 %)37件、プラセボ群で63例中19例(30.2%)36件に認められました。主な副作用は、トレリーフ25mg群で幻覚、傾眠、ジスキネジア、抑うつ症状、食欲減退及び血小板数減少が各々2例(3.2%)、50mg群で傾眠、体重減少及び悪心が各々3例(4.8%)、幻覚、ジスキネジア、無力症、不眠症及び流涎過多が各々2例(3.2%)、プラセボ群で不眠症が3例(4.8%)、ジスキネジア、血圧上昇、食欲減退、体重減少及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加が各々2例(3.2%)等でした。

死亡を含む重篤な有害事象は、トレリーフ25mg群で6例6件(幻覚、突然死、蜂巣炎、気管支肺炎、低血糖性意識消失、尿路感染)、50mg群で3例4件(体重減少、血中アルカリホスファターゼ増加・前立腺癌、大腿骨頚部骨折)、プラセボ群で2例3件(発熱・発疹、頚椎骨折)認められました。25mg群で1例の死亡(突然死)が報告され、薬剤との関連性を完全に否定することは難しいものの、関連性が強く疑われるものではないと判断されました。有害事象による投与中止は、25mg群で4例4件(幻覚、突然死、低血糖性意識消失、尿路感染)、50mg群で5例6件(体重減少、血中アルカリホスファターゼ増加、無力症・傾眠、大腿骨頚部骨折、睡眠障害)、プラセボ群で2例2件(便秘、頚椎骨折)でした。

ICH国際医薬用語集(MedDRA)日本語版Ver.10.0の基本語PTで集計

試験方法開く

【目的】
L-ドパ製剤(L-ドパ/DCI合剤を含む)による治療で十分な効果が得られていない進行期パーキンソン病患者に対するトレリーフ追加投与の有効性及び安全性を検討する。
【対象】
パーキンソン病患者196例
<選択基準>(1)L-ドパ製剤による治療歴が6ヵ月(26週)以上で同製剤の投与開始当初に効果が認められていた、(2)L-ドパ製剤の効果が減弱してきた、(3)L-ドパ製剤に加え他の抗パーキンソン病薬による治療が行われている、(4)観察期開始直前のUPDRS PartⅢ合計スコアが10点以上、
(5)20歳以上75歳未満、の条件をすべて満たす患者。
【方法】
患者を無作為にプラセボ群66例、トレリーフ25mg群64例、50mg群66例に割り付け、各々を1日1回朝経口投与し、観察期2週間、治療期12週間の二重盲検比較試験を行った。
【主要評価項目】
UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartⅢ(運動能力)合計スコアのベースラインからの変化量(最終評価時)
【副次評価項目】
UPDRS PartⅡ(日常生活動作)off時合計スコア変化量等
【解析計画】
有効性評価の主要解析では、各評価時期のUPDRS合計スコアのベースラインからの変化量を目的変数とし、投与群を固定効果、ベースラインのUPDRS合計スコアを共変量とする共分散分析モデルを用いて、プラセボ群と各トレリーフ投与群の対比較をDunnett検定により行った。

承認時評価資料:L-ドパ製剤による治療で十分な効果が得られていないパーキンソン病患者を対象とした第Ⅲ相試験
Murata, M., et al.: Neurol. Clin. Neurosci., 4:10-15, 2016
(本試験への大日本住友製薬株式会社からの支援あり/本論文の著者のうち3名は大日本住友製薬株式会社の社員である)

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