第8回 ラツーダの投与が検討される症例像

ラツーダの投与が検討される症例像
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2021年6月、本邦でラツーダが「統合失調症」および「双極性障害におけるうつ症状の改善」を効能・効果として発売してから1年が経過しました。
今回は、急性増悪期の統合失調症患者を対象とした検証的試験JEWEL試験の結果をもとに、「ラツーダの投与が検討される症例像」についてQ&A形式でご紹介します。

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ラツーダをお役立ていただきたい患者さんは?

 
ラツーダをぜひお役立ていただきたいのは、初発、再発・再燃の急性期統合失調症患者さんです。JEWEL試験では、年齢40歳、主な病型は妄想型、現エピソード期間は20日、CGI-Sスコアが5点という背景において、プラセボに比べて優越性が検証されました。
 この結果より、「非高齢者で妄想などの陽性症状が前景に立つ急性期統合失調症患者さんの早期治療」に貢献できる薬剤であると考えています。

JEWEL試験とは?

試験概要

 ではJEWEL試験をご紹介いたします。対象は、急性増悪期の統合失調症患者483例です。対象をプラセボ群またはラツーダ40mg群に無作為に分け、治験薬を1日1回、夕食時または夕食後に6週間経口投与しました。
 有効性の主たる解析は、ITT集団を対象として実施しました。有効性の主要評価項目である6週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量は、併合した実施医療機関、評価時期、治療群、治療群と評価時期の交互作用および、ベースラインのPANSS合計スコアを共変量とする反復測定のための混合モデル(MMRM)法を用いて解析し、最終評価時(LOCF)に治療効果(反応)が認められた患者の割合をLogistic regressionで評価しました。
 安全性解析対象集団は、無作為化され二重盲検治療期に少なくとも1回治験薬を投与された患者として実施しました。


患者背景

 本試験では、2ヵ月以内に陽性症状を主体とした機能低下があり、かつ入院から14日以内の患者を対象としています。
 患者背景をみると、男女比は約1:1、平均年齢は約40歳でした。妄想型が約90%含まれ、急性増悪が起こってから20日程度の急性期患者が組み入れられた試験でした。
 また、PANSS合計スコアは約100、CGI-Sスコアが4を超える患者が両群ともに75%以上を占めていました。
 このように、本試験には、若年で、急性期で、中等度以上の症状を有する患者が組み入れられました。


有効性 PANSS 合計スコア

 その結果、主要評価項目である6週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群−12.7、ラツーダ40mg群−19.3、投与群間の差−6.6と、統計学的に有意であり、ラツーダ40mgのプラセボに対する優越性が検証されました。また、effect sizeは0.410でした。
 副次評価項目である各来院時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量は、ラツーダ40mg群で投与2週目よりプラセボ群と有意差が認められ、その効果は6週時点まで継続しました。


安全性

 副作用発現頻度は、プラセボ群57例(24.3%)、ラツーダ40mg群69例(27.9%)でした。発現頻度が2%以上の副作用は、プラセボ群では不眠症12例(5.1%)、統合失調症11例(4.7%)、不安9例(3.8%)などで、ラツーダ40mg群では頭痛、アカシジア、統合失調症が各10例(4.0%)などでした。
 重篤な副作用は、プラセボ群2例2件[統合失調症、自殺企図各1件]、ラツーダ40mg群1例1件[統合失調症1件]に認められました。
 投与中止に至った有害事象は、プラセボ群15例[統合失調症11例、手骨折、精神病性障害、敵意、自殺企図各1例]、ラツーダ40mg群14例[統合失調症7例、房室ブロック、肺結核、体重増加、不安、カタトニー、妄想、精神病性障害各1例]に認められました。
 試験期間中、いずれの群においても死亡は報告されませんでした。

ラツーダの投与方法は?

 統合失調症に対する用法及び用量は、「通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80mgを超えないこと。」となっています。
 また、抗コリン作用の強い薬剤からラツーダへ切り替える場合は、コリン作動性の離脱症状(不安、焦燥など)に注意しながら、前治療薬を時間をかけてゆっくりと減らしてください(ラツーダの抗コリン作用は比較的弱いと考えられるため)。

ラツーダを、
急性増悪期の統合失調症に対する新たな治療選択肢として、

ぜひご検討ください。
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