第6回 急性増悪期の統合失調症患者を対象とした検証的試験JEWEL試験の結果②

Q&Aでわかる 急性増悪期の統合失調症患者を対象とした検証的試験 JEWEL試験の結果
iMR

2021年6月、本邦でラツーダが「統合失調症」および「双極性障害におけるうつ症状の改善」を効能・効果として発売してから1年が経過しました。
今回は、「急性増悪期の統合失調症患者を対象とした検証的試験JEWEL試験の結果」についてQ&A形式でご紹介します。

より詳細な情報をご希望の先生はオンラインMRがリモートでご紹介いたします。

オンラインMRのご紹介ページはこちら(*現在の利用は医師に限定させて頂いております。)

主なご紹介内容

  • JEWEL試験の背景
  • PANSS合計スコアの改善およびResponder割合
  • 副作用発現状況や臨床検査値の変化量
ラツーダの受容体結合親和性

 New SDA ラツーダとして情報提供をしておりますが、本剤の受容体結合親和性はこちらをご覧ください。
 セロトニン5-HT2A、セロトニン5-HT7、ドパミンD2、セロトニン5-HT1A受容体へのKi値は10nMより小さく、一方でヒスタミンH1、ムスカリンM1のKi値は1000nMより大きいことが示されました。
 この親和性から、本剤がSDAの薬剤特性を有することが伺えます。

JEWEL試験の試験概要は?

試験概要

 それではJEWEL試験の紹介に移ります。
 本試験の対象は、急性増悪期の統合失調症患者483例です。対象をプラセボ群またはラツーダ40mg群に無作為に分け、治験薬を1日1回、夕食時*または夕食後に6週間経口投与しました。
 有効性の主たる解析は、ITT集団を対象として実施しました。有効性の主要評価項目である6週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量は、併合した実施医療機関、評価時期、治療群、治療群と評価時期の交互作用および、ベースラインのPANSS合計スコアを共変量とする反復測定のための混合モデル(MMRM)法を用いて解析し、最終評価時(LOCF)に治療効果(反応)が認められた患者の割合をLogistic regressionで評価しました。
 安全性解析対象集団は、無作為化され二重盲検治療期に少なくとも1回治験薬を投与された患者として実施しました。

*本邦での承認用法は食後経口投与

患者背景

 本試験では、2ヵ月以内に陽性症状を主体とした機能低下があり、かつ入院から14日以内の患者を対象としています。
 患者背景をみると、男女比は約1:1、平均年齢は約40歳でした。妄想型が約90%含まれ、急性増悪が起こってから20日程度の急性期患者が組み入れられた試験でした。
 また、PANSS合計スコアは約100、CGI-Sスコアが4を超える患者が両群ともに75%以上を占めていました。
 このように、本試験には、若年で、急性期で、中等度以上の症状を有する患者が組み入れられました。

有効性 PANSS 合計スコア

 主要評価項目である6週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群−12.7、ラツーダ40mg群−19.3、投与群間の差−6.6と、統計学的に有意であり、ラツーダ40mgのプラセボに対する優越性が検証されました。また、effect sizeは0.410でした。
 副次評価項目である各来院時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量は、ラツーダ40mg群で投与2週目よりプラセボ群と有意差が認められ、その効果は6週時点まで継続しました。

日本人のPANSS 合計スコア

 本試験では、事前に計画されたサブグループ解析として、主要評価項目における日本人集団での解析が実施されています。
 その結果、日本人における6週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群−6.8、ラツーダ40mg群−13.7でした。

PANSS responderの割合

 6週時のPANSS responder(PANSS合計スコアがベースラインから20%以上改善した患者)の割合は、プラセボ群42.5%、ラツーダ40mg群60.0%であり、プラセボに比べて、有意に高いことが示されました。
 ラツーダ40mg群では、PANSS合計スコアをベースラインから50%以上改善したのは12.2%、40%から50%改善したのは11.5%、30%から40%改善したのは20.4%という割合でした。
 また、治療必要数(number needed to treat:NNT)は6でした。NNTが6ということは、患者6例に処方した場合に1例がPANSS responderとなることが期待できると解釈されます。

CGI-Sスコア

 また、ラツーダ40mgは、プラセボに比べて、CGI-Sスコアを有意に低下させました。

JEWEL試験の結果は?

安全性

 副作用発現頻度は、プラセボ群57例(24.3%)、ラツーダ40mg群69例(27.9%)でした。発現頻度が2%以上の副作用は、プラセボ群では不眠症12例(5.1%)、統合失調症11例(4.7%)、不安9例(3.8%)などで、ラツーダ40mg群では頭痛、アカシジア、統合失調症が各10例(4.0%)などでした。
 重篤な副作用は、プラセボ群2例2件[統合失調症、自殺企図各1件]、ラツーダ40mg群
1例1件[統合失調症1件]に認められました。
 投与中止に至った有害事象は、プラセボ群15例[統合失調症11例、手骨折、精神病性障害、敵意、自殺企図各1例]、ラツーダ40mg群14例[統合失調症7例、房室ブロック、肺結核、体重増加、不安、カタトニー、妄想、精神病性障害各1例]に認められました。
 試験期間中、いずれの群においても死亡は報告されませんでした。

臨床検査値

 本試験では、臨床検査値への影響も検討されています。
 6週時点での体重、BMIの変化量や、HbA1c、コレストロールなど糖脂質代謝への影響、プロラクチンへの影響はこちらに示すとおりです。

中止率

 6週時における中止率はプラセボ群25.4%、ラツーダ40mg群19.4%でした。
 中止理由の内訳として、同意の撤回、有害事象、有効性の欠如が実薬群で主な項目でした。


急性増悪期の統合失調症を対象としたラツーダの有効性と安全性はいかがでしょうか。
このような背景を持つ患者さんの統合失調症に対する新たな治療選択肢として、ぜひご検討ください。
より詳細な情報をご希望の先生はオンラインMRがリモートでご紹介いたします。

オンラインMRのご紹介ページはこちら(*現在の利用は医師に限定させて頂いております。)

関連情報

統合失調症/ラツーダについてもっと知る