メトホルミンから始める糖尿病薬物療法

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Q1 日本におけるメトホルミンの位置づけを教えてください。

日本においては、病態に合わせて経口血糖降下薬を選択することが推奨されています(図1)1)。メトホルミンはインスリン抵抗性改善薬であり、肝臓での糖新生抑制、末梢でのインスリン感受性の改善作用などを示します。糖尿病治療ガイドには、「血糖コントロール改善に際して体重が増加しにくいので、過体重・肥満2型糖尿病例では第一選択となるが、非肥満例にも有効である」と記載されています2)
実際に、メトグルコの国内臨床試験において、HbA1cの変化量をBMI別にサブグループ解析を行った結果、BMIに依らないHbA1c改善効果が確認されています3)

1)日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2018-2019, p33, 文光堂, 東京, 2018
2)日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2018-2019, p52, 文光堂, 東京, 2018
3)大日本住友製薬資料:長期投与試験【承認時評価資料】

図1:病態に合わせた経口血糖降下薬の選択
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図1:病態に合わせた経口血糖降下薬の選択

Q2 メトホルミンを始める時、増量する時のポイントは何ですか?

A.消化器症状への注意と服用回数がポイントです。

メトホルミンを始める時、増量する時には、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状があらわれる場合があります1)。消化器症状のために、メトホルミンを中止することもあるため、消化器症状を回避することが重要となります。消化器症状を起こしにくくするためには、メトホルミンを低用量から開始し、ゆっくりと増量することがポイントとなります(図2)。
また、メトホルミンは1日2~3回服用する薬剤です1)。お昼に飲み忘れてしまう患者さんには、1日2回の処方にすることも可能なため、患者さんの服薬アドヒアランスに応じて服用回数を調節して開始できることもポイントとなります(図2)。

1)メトグルコ添付文書2020年2月改訂(第1版)

図2:メトホルミン開始時・増量時の工夫
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図2:メトホルミン開始時・増量時の工夫

Q3 メトホルミン1,000mg/日への増量効果を教えてください。

A.メトホルミン500mg/日あるいは750mg/日から1,000mg/日に増量することでHbA1cの有意な低下が示されています。

メトホルミン1,000mg/日への増量効果を検討した試験をご紹介します(図3-a)。

図3-a:試験概要
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図3-a:試験概要

メトホルミン500mg/日あるいは750mg/日からメトホルミン1,000mg/日へと増量を行った144例を対象にHbA1cの変化を後ろ向きに解析を行いました。
ベースライン時のHbA1cは8.20%であり、メトホルミン1,000mg/日へ増量後3ヵ月後にはHbA1c 7.63%、6ヵ月後にはHbA1c 7.55%へと低下し、いずれにおいても有意差が認められました(図3-b)。

図3-b:試験結果
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図3-b:試験結果

またBMI別のHbA1c低下度をこちらに示します(図3-c)。BMI 25kg/m2未満と25kg/m2以上を比較すると、両群間に有意差は認められず、肥満の有無によるHbA1c低下には差がありませんでした。
よって、メトホルミン500mg/日あるいは750mg/日で効果不十分の患者さんでは、メトホルミン1,000mg/日へ増量して頂くことで、増量効果が得られることが示されました。また、BMIの値、すなわち肥満の有無によらず増量効果が得られることも示されました。

図3-c:BMI別のHbA1cの低下度
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図3-c:BMI別のHbA1cの低下度

なお、本試験における副作用として、144例中3例に軽度の下痢などの消化器症状が認められました。いずれの症例も1週間以内に軽快し継続投与が可能でした(図3-d)。

Suzuki K, et al:Therapeutic Research 36(1), 69-76, 2015

図3-d:安全性
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図3-d:安全性

Q4 メトホルミンを増量しても効果不十分の場合はどうしたら良いですか?

A.選択肢のひとつにDPP-4阻害薬の追加を検討することが考えられます。

糖尿病標準診療マニュアルではメトホルミンをステップ1(第一選択薬)の薬剤に設定しており、その後の治療強化のアルゴリズムが示されています(図4)。メトホルミンで効果不十分になった場合はステップ2としてDPP-4阻害薬を追加することが推奨されています1)。そのため、DPP-4阻害薬の追加を選択肢のひとつとして検討しても良いでしょう。
また、メトホルミンとDPP-4阻害薬には配合剤が発売されているため、服薬アドヒアランスを保つために、メトホルミンとDPP-4阻害薬の配合剤にすることも選択肢のひとつとして考えられます。

1)日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会 作成:糖尿病標準診療マニュアル第16版, p7, 2020

図4:糖尿病標準診療マニュアルでの処方アルゴリズム
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図4:糖尿病標準診療マニュアルでの処方アルゴリズム

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