アバプロ:製造販売後臨床試験


試験名・目的

本態性高血圧症患者を対象とした
イルベサルタン長期投与時の安全性ならびに有効性の検討

吉永馨, 血圧, 2011;18(11):1108-1116
※利益相反:本論文の著者のうち1名は大日本住友製薬株式会社の社員である。

目 的

日本人本態性高血圧症患者を対象に、イルベサルタンの承認用量である50~200mgで長期投与試験を実施し、承認用量上限の200mgを長期投与した時の安全性及び有効性を評価すると共に、尿中アルブミン及びPAI-1等に与える影響を検討する。

対象・方法開く

対 象

25歳以上80歳未満の外来通院中の日本人患者で、観察期終了時の坐位血圧(収縮期血圧/拡張期血圧、SBP/DBP)が160/90mmHg以上又は150/95mmHg以上で、観察期終了時とその前の来院日の坐位血圧の差が、SBPで30mmHg未満かつDBPで15mmHg未満の軽症・中等症本態性高血圧症患者166例

方 法

投与前の観察期(2~6週間)及びイルベサルタンを投与する治療期(52週間)の2期構成とした。観察期では、原則として観察期開始前に使用していた降圧薬を全てウォッシュアウトし、治療期の最初の4週間は100mg/日、4週後以降は降圧効果及び安全性を考慮した上で、50~200mg/日の範囲でイルベサルタンの用量を適宜増減可とした。200mgまで増量された患者は166例中122例(73.5%)であった。

<安全性>
副作用は18例(10.8%)に発現し、主な副作用は、心室性期外収縮、血中クレアチニンホスホキナーゼ増加及び血中アルカリホスファターゼ増加(各1.2%、各2/166例)であった。本試験ではイルベサルタンとしての新たな有害事象及び副作用はみられず、長期投与しても有害事象及び副作用の発現割合が高くなることはなかった。

試験デザイン開く

吉永馨, 血圧, 2011;18(11):1108-1116

降圧効果

坐位血圧の推移(FAS)

イルベサルタン投与により、坐位血圧は収縮期・拡張期ともにベースラインから有意に下降しました。また、収縮期血圧は投与4週後から20週後まで、拡張期血圧は4週後から28週後まで経時的に低下し、その後52週後までほぼ一定でした。血圧正常化割合は、最終評価時で58.2%(96/165例)でした。

吉永馨, 血圧, 2011;18(11):1108-1116

尿中アルブミンに及ぼす影響

〈参考情報〉尿中アルブミンに及ぼす影響

イルベサルタン投与後、尿中アルブミンはベースラインと比べて最終評価時で有意に低下しました。

〈参考情報〉イルベサルタン投与後のeGFR値の推移

イルベサルタン投与中の治療期間を通じてeGFRは維持されていました。

吉永馨, 血圧, 2011;18(11):1108-1116

【参考】UACRとは

尿中アルブミン/クレアチニン比
アルブミンは随時尿で採取し、クレアチニンによる補正を行い、全症例及び10未満、10以上30未満、30以上にて解析を行った。
UACR≧30が微量アルブミン尿陽性となる。

血清尿酸値

〈参考情報〉血清尿酸値に及ぼす影響

イルベサルタン投与後、血清尿酸値はベースラインと比べて最終評価時で有意に低下しました。

吉永馨, 血圧, 2011;18(11):1108-1116

PAI-1

〈参考情報〉PAI‐1に及ぼす影響

イルベサルタン投与後、PAI‐1はベースラインと比べて最終評価時で有意に減少しました。

吉永馨, 血圧, 2011;18(11):1108-1116

【参考】PAI-1(plasminogen activator inhibitor-1)について

PAI-1はtPA、uPAなどのプラスミノーゲン活性化酵素の活性を阻害するタンパク質であり、プラスミンによるフィブリン(血栓)の溶解、すなわち線溶を抑制します。正常血液中には約20ng/mLのPAI-1が存在しますがPAI-1の欠乏は出血傾向を示し、逆に増加は深部静脈血栓症や心筋梗塞のリスクファクターとなります。PPARγ活性化との関連性も注目されています。一般的に基準値は、50ng/mL 1)とされています。

血栓止血学会HP用語集より
1)臨床検査値判読ハンドブック(南江堂)

血清カリウム値

〈参考情報〉血清カリウム値に及ぼす影響

イルベサルタン投与期間を通じて、血清カリウム値に有意な変動は認められませんでした。

吉永馨, 血圧, 2011;18(11):1108-1116

【参考】血清カリウム値について

「CKD診療ガイド(高血圧編)」 2) で示されているとおり、RA系抑制薬投与時には高カリウム(K)血症に注意する必要があります。また、急激に腎機能が低下した患者及びK保持性利尿薬を併用した患者には、高K血症が発現する可能性がある 2)ため、これらの患者に投与する際には血清K値の上昇に注意する必要があります。

2) 日本腎臓学会と日本高血圧学会によるCKD対策合同委員会:CKD 診療ガイド高血圧編,
日本腎臓学会, 日本高血圧学会, 東京医学社, 2008

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