造血幹細胞移植推進拠点病院として、中国・四国地方の移植医療に貢献

  • 診療科血液・腫瘍・呼吸器内科学
  • エリア岡山県岡山市北区

前田 嘉信(まえだ よしのぶ)先生

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科/血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授

前田 嘉信(まえだ よしのぶ)先生

年間約50件の造血幹細胞移植を実施

岡山大学病院は、全国8ブロックに9施設ある造血幹細胞移植推進拠点病院の1つです。白血病と骨髄異形成症候群を中心に、年間約50件の造血幹細胞移植を実施しています。血液内科は26床(うち、無菌室16床)の病床を有していますが(2018年10月現在)、常に満床に近い状況であるため、入院・外来ともに関連病院との密な連携の下で診療にあたっています。

移植推進拠点病院の務めとして、移植医や看護師、移植医療に精通した管理栄養士、理学療法土、造血細胞移植コーディネーター(HCTC)の育成にも尽力しています。中国・四国地方では、広範なエリアに点在する各施設が、それぞれの地域の血液内科診療を担っています。今後、医師の大幅な増員は難しいことが予想されます。そのため、様々な職種からなるチーム医療を充実させていくことが重要になります。岡山大学病院では各地への出張セミナーを積極的に実施しており、チーム医療のレベルアップを目指しています。また、相談窓口として設置した移植支援センターでは、移植に関する相談を随時受け付けています。

腫瘍の生物学的リスクのみならず、治療関連死のリスクを低減させることが重要

造血幹細胞移植の成績を向上させるためには、腫瘍の生物学的リスクのみならず、治療関連死のリスクを低減させることが重要です。特に高齢者や臓器合併症をもつ患者は致死的合併症のリスクが高いため、十分な対策が必要です。

その1つが感染症対策です。中でもサイトメガロウイルス(CMV)感染症が難治性になると臨床上大きな問題になりますし、ヘルペスウイルス、特にヒトヘルペスウイルス-6(HHV-6)感染症とその後遺症にも注意を要します。細菌感染や真菌感染も、患者さんの状態が悪い場合には致死的となり得るため、十分な警戒が求められます。当科は無菌病棟で移植を行っていますが、抗ウイルス薬・抗菌薬・抗真菌薬の適正使用に努めるとともに医療スタッフ間で感染制御の意識を高め合いながら診療・ケアに臨んでいます。

チーム医療によって患者さんを多面的にサポート

生命の危機に直結し得る感染症対策に加えて、患者さんの身体・精神に対する多面的な介入・サポートも重要です。これらは多職種から成るチーム医療によって実現され、当科では、移植患者さんが紹介された時点から看護師およびHCTCが介入を開始します。さらに、前処置・移植の期間を通じて歯科医・歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士、理学療法土が介入し、必要に応じて精神科医、心理士、各種認定看護師も関与します()。退院後は、看護師およびHCTCがフォローアップを行います。週1回実施しているミーティングでは各職種が存分に専門性を発揮できるよう、自由に発言できる雰囲気の醸成に努めています。

チームのメンバーはいずれも重要な役割を担っていますが、岡山大学病院の特徴の1つとして、歯学部・歯科診療棟が併設されているため歯科医・歯科衛生士の強力なサポートが得られることが挙げられます。当院医療支援歯科治療部の曽我賢彦先生は「日本がん口腔支持療法学会」の理事長でもあり、移植に限らずがん治療における口腔ケアを推進しています。また、当科では腸管免疫を重視するという方針の下、可能であれば中心静脈栄養法ではなく経管栄養法を採用するようにしていますが、その場面では管理栄養士が栄養摂取法や成分調整などについて積極的に意見を出してくれています。

造血幹細胞移植チームの主要構成メンバー

提供:前田嘉信先生

関連病院との連携の強化が治療の連続性の保持、予後の改善に繋がる

血液腫瘍の治療においては、新しい分子標的薬や免疫調節薬など、より副作用が少なく、抗腫瘍効果が高い治療法の開発が進められています。治療薬の進歩は、これまで移植適応とならなかったより病状の悪い患者さんに対する移植を可能にするかもしれません。また、新しい治療薬の導入は、移植が不要となる患者群を新たに生み出すかもしれません。今後のさらなる課題としては、移植後合併症の減少、予後の改善を果たすために、粘膜毒性や臓器障害を軽減させ得る前治療および支持療法の開発が期待されます。

治療の進歩に貢献するために、岡山大学病院とその関連病院では前向き観察研究を行っており、グループとして症例の集積・解析を進めています。各治療法の成績を明らかにすることだけでなく、奏効が得られなかった症例の特徴や、その因子を明らかにすることも重要であるため、病理検体を網羅的に解析する仕組みを整えようとしています。当院と関連病院との連携は以前から密でしたが、連携をさらに強化することが患者さんの治療の連続性を保持し、予後を改善することにも繋がると考えています。

医療機関名称 岡山大学病院
住所 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
電話番号 086-235-7227
医師名 前田 嘉信(まえだ よしのぶ)先生
経歴
1992年
岡山大学医学部卒
2017年7月より
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科学教授
ホームページ http://ninai.med.okayama-u.ac.jp/外部サイトを開く(血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)