増加する高齢患者に対応するため、地域連携を推進

  • 診療科免疫血液内科
  • エリア兵庫県神戸市西区

新里 偉咲(しんざと いさく)先生

神戸市立西神戸医療センター/免疫血液内科 部長

新里 偉咲(しんざと いさく)先生

高齢化と治療対象の拡大により、患者数が顕著に増加

当センターは神戸市西区・垂水区・須磨区の3区を主な診療圏としています。免疫血液内科における1日の平均患者数は約80人、新規患者数は平均4~5人です。当科は2015年の春にベッドを25床に増床しました。既存の倍の病床数となりましたが、常時満床に近い状況です。外来化学療法センターで化学療法を実施している患者さんの数は、5年前と比較すると約1.5倍となっています。

最近は高齢の患者さんが増加しており、特にここ数年は近隣のニュータウン在住の若い世代に呼び寄せられた親世代の患者さんが増えている印象があります。高齢患者の増加に伴い、骨髄異形成症候群や多発性骨髄腫の患者さんが増えています。また、従来、白血病に対する強力化学療法の対象は65歳まででしたが、現在はより高齢であっても治療可能となっているため、白血病の患者さんも増加傾向にあります。

地域のニーズに対応し、近隣他施設との連携を深める

私たちは、来院された患者さんや他施設から紹介された患者さんは原則として全て受け入れる方針をとっています。当科で治療後、外来治療が可能となれば逆紹介を行いますが、紹介・逆紹介を円滑に行うためには、日頃から地域の医療機関と信頼関係を築いておくことが大切です。医師会などの会合にも積極的に出席し、顔の見える関係づくりを進めています。

移植をはじめ、より高度な治療が必要となるケースでは、関連施設である中央市民病院のほか、神戸大学医学部附属病院、兵庫医科大学病院、兵庫県立がんセンター等と連携します。移植適応と考えられる場合は事前に情報を提供しておき、適切なタイミングで紹介します。診療に間を空けず、より良好な条件で移植を受けていただくことが私たちの努めであると考えています。

高齢患者の治療においてはチームによる対応が重要

高齢患者の治療においては、患者さんの全身状態やご家族の状況を考慮しつつ、可能な限り最適な治療を選択します。高齢者ではせん妄の出現をはじめ様々な事態が発生しうるため、精神・神経科のほか、緩和ケアチーム、感染管理チーム、リハビリテーション科等、他部門のスタッフから成るチームで患者さんをサポートします。ご家族のバックアップを得られるか否かも重要な要素であり、独居の方の場合は緩和ケアチームとの連携の下で対応しています。退院後の生活を検討する際には、地域医療科もチームに加わります。

高齢者に対しては、無理に踏み込んだ治療を行わないことを選択する場面もあります。患者さんの年齢だけで判断するのではなく、全身状態を総合的に見極めることが大切であり、場合によっては過度な治療は行わず、“勇気ある撤退”を選択することが必要と考えています。

治療の成否を左右する感染症対策を徹底

血液腫瘍の治療においては、感染症対策がその成否を左右します。当科では患者さんが発熱した場合は、比較的早いタイミングで抗菌薬の投与を開始します。初期には広い抗菌スペクトラムを有する薬剤を選択し、培養で細菌を特定できれば薬剤選択を絞り込みます。ある程度の好中球減少を伴う患者さんに対しては、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与を行います。そのため、やや濃厚な治療とはなりますが、重篤な感染症は以前よりも起きにくくなっています。

感染管理チームには細菌検査部門の技師のほか、当科を含む多科の医師が参加しています。月1回のカンファレンスでは培養結果をレビューするとともに抗菌薬・抗真菌薬の投与状況などを確認し合い、何か問題があれば迅速に対応します。

外来の患者さんに対しては発熱時の対応を指導することを重視しています。発熱がみられた場合は夜間や土日であっても当センターに連絡していただくとともに、処方している抗菌薬を速やかに服用していただくよう、お伝えしています。

中央市民病院との協力の下、全国的に見ても多い骨髄増殖性腫瘍の症例報告を

最初に述べたように骨髄異形成症候群と多発性骨髄腫が増加していますので、これらに対する標準的な治療を確実に実施するとともに、新しい治療にも取り組んでいきたいと思います。大学病院が抱えきれない悪性腫瘍以外の血液疾患の診療にも、これまで以上に尽力していきます。また、当科では真性赤血球増加症(真性多血症)や本態性血小板血症、骨髄線維症を含む骨髄増殖性腫瘍(MPN)の患者数が全国的に見ても多いため、中央市民病院との協力の下、症例報告を積極的に行っていきたいと考えています。

3つの基本方針

提供:新里偉咲先生

医療機関名称 神戸市立西神戸医療センター
住所 〒651-2273 兵庫県神戸市西区糀台5-7-1
電話番号 078-997-2200(代表)
医師名 新里 偉咲(しんざと いさく)先生
経歴
1991年
滋賀医科大学医学部卒
1998年より
神戸市立西神戸医療センター勤務
ホームページ http://nmc.kcho.jp/外部サイトを開く