あらゆる血液疾患に対応できる血液内科であることを目指して

  • 診療科血液内科
  • エリア大阪府大阪市都島区

山根 孝久(やまね たかひさ)先生

地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター/副院長

山根 孝久(やまね たかひさ)先生

林 良樹(はやし よしき)先生

地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター/血液内科 医長

林 良樹(はやし よしき)先生

大阪府北部の診療圏における様々な血液疾患に対応

山根
当院は大阪市都島区に位置し、都島区を中心に大阪市内、守口市、東大阪市などの広範な地域から様々な血液疾患の患者さんを受け入れています。また、大阪市立大学を中心とする大阪造血器悪性腫瘍コンソーシアムの一員であり、加盟施設を中心に、府下の医療施設間で連携体制を敷いています。

当科における2016年度の新規入院患者数は319名、延べ入院患者数は658名でした。44床(クラス100の完全無菌室5室、ベッドアイソレーター設置2室)の病床を有し、常勤医5人、レジデント3人で診療にあたっています(2017年4月現在)。また、院内の50を超える診療科から紹介される血液疾患患者さんにも対応しています。

抗がん剤と移植の双方を駆使するオールラウンドな治療体制


造血細胞移植に関して、当院は骨髄バンク・臍帯血バンクの認定施設であるため、自家移植および血縁者間移植だけでなく非血縁者間移植も可能です。移植を必要とする患者さんに対して、機会を逸することなく確実に移植を施行できるように体制を整えています。

山根
施設として様々な血液疾患の患者さんに対応するためには、抗がん剤と移植の双方を駆使する必要があります。私たちはこれらの治療のいずれかに偏ることなくオールラウンドに治療できる血液内科であることを目指しており、スタッフの育成においてもこの点を重視しています。


移植医療は疾患ごとに適応が異なり、最適な施行時期も異なります。特に同種移植では、ドナー調整が必要であるため十分な準備期間も必要となります。そのため、私たちは患者さん1人1人の病状を正しく把握するとともに、治療初期から移植を含むあらゆる選択肢を念頭に置いてマネジメントすることを心がけています。毎週の症例カンファレンスでは全ての患者さんの治療状況を共有するとともに、移植医療についての検討も並行して行っています。

悪性リンパ腫、高齢者が多いのが特徴

山根
当科では近年、悪性リンパ腫の患者さんが増加傾向にあり、新規入院患者の40%を占める状況となっています()。悪性リンパ腫は多くの病型に分かれており、それぞれに予後・戦略が変わります。時に難渋する診断に関しては病理医との連携が不可欠ですが、当院では血液疾患に造詣の深い井上健先生(病理診断科)と協力し、診断精度を高めるべく努力しています。

当院は地域基幹病院の中でも大型病院であるため紹介患者さんが多く、また各科の専門性が高いため高度の免疫抑制剤や濃厚な抗がん剤を使用されている患者さんもたくさんおられます。そのため院内発生の悪性リンパ腫、二次性血液悪性疾患は比較的多く、院内紹介が多いのも特色の1つで、各科連携が充実しているため、患者さんに対して遅滞なく治療開始できる体制になっています。

年齢別に見ると、高齢の患者さんも増えており、個々の患者さんの臓器の予備能を考慮しながら抗がん剤を調節し、治療強度をなるべく落とさないことを目標にしています。

新入院患者数(疾患別、2017年度)(大阪市立総合医療センター 血液内科)

提供:山根孝久先生、林良樹先生

感染管理を徹底し、治療強度を落とさない努力

山根
当院の強みの1つは、院内の感染制御チーム(infection control team;ICT)が充実していることです。ICTが院内をラウンドし、アンチバイオグラムを踏まえた抗菌薬の適正使用や、抗真菌薬の使用についてコメントを残してくれるため、大変参考になります。


治療強度をできるだけ落とさず目標とする投与設計を全うできることは、治癒を目指す上で重要な要素です。骨髄抑制を高度に認めることが多い血液疾患の化学療法では、合併症の中でも特に感染症への対策が重要となります。当科では患者さんごとの感染症罹患リスクを念頭に、病棟内での病原体の発生状況を勘案して感染症予防・治療を行っており、主治医のみならず病棟ナースともリスク因子などを情報共有し、いつでも均質で迅速な対応が取れるようにしています。

特に注意が必要な真菌感染症に関しては、発症が疑われた時点でのCTをはじめとする画像評価、経験的治療開始はもちろんですが、起因菌同定は治療成功の鍵となるため、気管支鏡検査、各種生検など各科と連携しながら少しでも診断精度を上げられるように努力しています。

“チーム医療”の実践

山根
当科におけるチーム医療の取り組みは、看護師からの働きかけによって始まったという経緯があります。そうした下地がある中、2016年より国立がん研究センター中央病院の勤務経験がある林先生が当科に着任されたことで、さらに一歩前進しました。

薬剤の進歩、支持療法の改善により、ある種の血液疾患患者では治癒を目指すことができるようになりましたが、そのためには免疫不全、臓器障害など特有の合併症を呈する化学療法を受ける必要があります。合併症を切り抜けるためには様々な職種の協力が必要で、当院ではリハビリテーションスタッフによる病棟リハビリ介入や病棟薬剤師による投薬説明、口腔ケアスタッフによるケアラウンド、精神科スタッフによるリエゾンコンサルテーションなど、あらゆる専門スタッフへのアクセスが可能で、主治医のみならず看護師、患者さんご本人からリクエストできる体制も整っており有用です。


とりわけ移植片対宿主病(graft versus host disease;GVHD)や感染管理を含む長期間の管理を要する同種移植では、チーム医療の実践が不可欠です。最近はどの移植施設でも実践されていることですが、当院でも前述の多職種スタッフを交えたカンファレンスを移植前後に定期的に開催し、経過を確認し治療目標を共有することにしています。

当院は移植症例数がとりわけ多い移植施設ではないのですが、経験豊富なスタッフが複数在籍していることで標準的かつ質の高い移植医療を提供できる体制にあります。また移植前から継続的に加療し情報共有できている患者さんの移植が多いため、移植後の合併症に関してもスムーズに介入できています。

山根
当院は腫瘍内科の規模が大きいこともあって緩和医療に力を入れており、2015年には緩和ケアセンターが設立されました。血液内科も緩和ケアセンターと密に連携しており、疼痛ケアの病棟ラウンドや終末期の患者さんに対する緩和治療において、その専門性を発揮してもらっています。


血液内科領域においても、緩和医療が果たす役割は大きいと感じています。血液腫瘍の患者さんは終末期に急激に病状が悪化することが多く、経過の予測が困難なため、在宅での緩和ケアは困難な場合があるのですが、当院の緩和ケアセンターでは緊急時の入院受け入れが比較的スムーズなため在宅緩和を選ばれるケースも増えています。在宅緩和の症例を積み重ねていくことで支援スタッフの経験値も上がり、協力してくださる在宅ケア医、訪問看護ステーションも増えており、今後もトライしていくつもりです。

医療機関名称 地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター
住所 〒534-0021 大阪府大阪市都島区都島本通2-13-22
電話番号 06-6929-1221(代表)
医師名 山根 孝久(やまね たかひさ)先生
経歴
1986年
大阪市立大学医学部卒
2011年より
大阪市立総合医療センター勤務
医師名 林 良樹(はやし よしき)先生
経歴
2004年
大阪市立大学医学部卒
2016年より
大阪市立総合医療センター勤務
ホームページ http://www.osakacity-hp.or.jp/ocgh/inv/int/ke_n/jisseki.html外部サイトを開く