増加する高齢患者に対応するとともに、外来化学療法の向上にも注力

  • 診療科血液・腫瘍内科
  • エリア茨城県日立市城南町

品川 篤司(しながわ あつし)先生

株式会社日立製作所 日立総合病院/血液・腫瘍内科 主任医長

品川 篤司(しながわ あつし)先生

茨城県北部における血液内科診療を担い、移植も実施

当院は人口約26万人の日立医療圏を含む茨城県北部の中核病院としての役割を担っています(図1)。その中で血液・腫瘍内科は病床数41床を有し、常勤スタッフ4人と研修医が診療に当たっています(2018年3月現在)。1日の外来患者数は30~40人です。

当科は茨城県北部において造血幹細胞移植を実施している唯一の施設です。現在は自家移植および血縁者間同種移植を実施しており、移植適応となる疾患としては骨髄腫やリンパ腫が多く、実施件数としては同種移植より自家移植が多いという状況です。非血縁者間移植を必要とする症例は、県南部の筑波大学附属病院などに紹介しています。

図1 日立総合病院の位置づけ

提供:品川篤司先生

高齢化が進む中、新たな課題も

茨城県北部および西部は高齢化が特に進んでいる地域であり、医療過疎の問題が指摘されています。日立市もかつては人口20万人を超えていた企業城下町ですが、2018年現在の人口は約18万人で、今後も減少傾向が続くと言われています。当施設で診療している患者さんの平均年齢は、大学病院で診療されている患者さんに比べて高いと思われます。

様々な新薬の登場により高齢者に対する治療選択肢が増え、支持療法も進歩しています。従来に比べて治療対象となる患者さんは増えていますが、その分、個々の患者さんの状況を考慮した治療選択が求められます。身体的には問題がなくても認知機能の低下によりインフォームド・コンセントが成立しない、外来通院や服薬遵守が難しい、などの理由で治療適応から外れるケースが増えていることは、高齢社会の中で浮上してきた新たな課題です。

より安全に化学療法を受けていただけるよう、化学療法センターを設置

当院は、より安全に化学療法を受けていただけるよう、化学療法センターを設置しています。化学療法センターでは最初に、点滴と採血を行うことができるタイプのカテーテルを留置します。点滴ルートを確保した状態で看護師が心身の状況を伺い、次に薬剤師が服薬状況や副作用についてヒアリングを行います。最近は薬剤の種類が増え、また、分子標的薬は従来の抗がん剤とは異なる副作用プロファイルを有しているため、薬剤師によるチェックの重要性が増しています。看護師と薬剤師によるヒアリングで得られた情報を踏まえて担当医が問診を行い、その日の投薬内容を決定します(図2)。こうしたフローを確立することで安全性を担保すると同時に、待ち時間の負担感の軽減も期待できます。

入院中の患者さんに対しても、多職種の参加の下、チーム医療を実践しています。週1回の移植カンファレンスには血液・腫瘍内科の病棟看護師、外来看護師、輸血センターの看護師および技師、検査科、リハビリテーション科などが参加します。また、病棟カンファレンスには必要に応じて医事課や地域連携室のスタッフも参加し、退院後の支援も含めて話し合います。外来化学療法への移行を予定している患者さんがおられる際は化学療法センターの看護師や歯科衛生士が担当医の回診に同行し、情報を共有しています。また、入院中にオリエンテーションを実施して化学療法センターの様子を見学していただき、退院後の治療が円滑になるようにしています。

図2 外来化学療法における診療フロー

提供:品川篤司先生

感染症対策にも多職種が関与

抗菌薬の選択は、エビデンスに基づく範囲で各担当医の判断に任せています。異なる抗菌薬が使用されるため、これまでのところ強力な耐性菌が出現する事態は起きていません。しかし、ステロイドが比較的長期間にわたり使用されている骨髄腫やリンパ腫の患者さんでは、時としてニューモシスチス肺炎の発症や、サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化がみられることがあります。そのため、発熱があり、抗菌薬への反応が悪い場合は速やかにCMVのモニタリングを開始するなど、注意を怠らないようにしています。

肺アスペルギルス症などの真菌感染症は、当科の無菌室を24床に増床して以降、減少した印象があります。日頃から、手洗い・うがいの指導や口腔ケアに関して、看護師や歯科医が積極的に介入してくれていることも影響していると思われます。また、高齢者は誤嚥による肺炎のリスクが高いため、言語聴覚士による嚥下機能の評価や訓練を早期に行うようにしています。

外来化学療法の普及、高齢化の増加を見据えて

外来化学療法の患者さんが増加している現状を踏まえると、今後は在宅環境に関しても何らかの対策が求められ、環境基準の策定や、可能であれば訪問によるチェック体制の構築も必要になってくると考えられます。また、高齢者の増加が予想される中、より簡便に服用できる新しい薬剤の登場にも期待しています。

医療機関名称 株式会社日立製作所 日立総合病院
住所 〒317-0077 茨城県日立市城南町2-1-1
電話番号 0294-23-1111(代表)
医師名 品川 篤司(しながわ あつし)先生
経歴
1991年
筑波大学医学部卒
2000年より
株式会社日立製作所 日立総合病院勤務
ホームページ http://www.hitachi.co.jp/hospital/hitachi/外部サイトを開く