造血幹細胞移植実施施設として山梨県の血液腫瘍診療を牽引

  • 診療科血液内科
  • エリア山梨県甲府市富士見

飯野 昌樹(いいの まさき)先生

山梨県立中央病院/血液内科 部長/通院型がんセンター長

飯野 昌樹(いいの まさき)先生

地元にいながら最先端の医療を受けることができる、血液腫瘍診療の拠点として

当院血液内科は、成人への造血幹細胞移植を行う山梨県内初の診療科として、2004年4月に開設しました。県内の移植実施施設は、現在も当院と山梨大学医学部附属病院の2施設のみです。当科は「地元にいながら最先端の医療」をモットーに、診断から化学療法、移植、治癒までを一貫して管理できる体制を築いています。高齢の患者さんが増加する中、東京をはじめとする大都市に行かずとも最先端の医療を受けられることのメリットは大きいと思います。

当科における新規患者の疾患別内訳は、2016年の集計で白血病34例、多発性骨髄腫19例、悪性リンパ腫90例、骨髄異形成症候群30例などです。移植に関しては、2007年に臍帯血移植を開始し、現在は全ての移植法に対応しています。移植実施件数の年次推移を見ると、2014年は自家移植3件、同種移植6件、2015年はそれぞれ10件、5件、2016年と2017年はそれぞれ10件、11件という状況です(図1)。2018年1月現在、累計105件の移植を実施し、自家移植と同種移植はほぼ同数、同種移植の約4割が臍帯血移植です。

また、2018年1月までの年代別集計では50歳代が自家移植の36%、同種移植の27%、60歳代がそれぞれ41%、29%を占めています(図2)。当院では60歳代を移植の上限年齢としていますが、最近は高齢の患者さんが増加傾向にあることから、今後はミニ移植や臍帯血移植などを適宜組み合わせ、全身状態を鑑みつつ70歳代の患者さんに対する移植も検討していきたいと考えています。

図1 移植件数の年次推移(山梨県立中央病院)

※2018年1月現在
提供:飯野昌樹先生

図2 移植の年代別内訳(山梨県立中央病院)

提供:飯野昌樹先生

他科・多職種連携により良好な治療成績を達成

当科は化学療法科と協同体制をとり、3名のスタッフで診療に当たっています。前述の通り、県内の血液腫瘍診療を当院と大学病院の2施設で担う状況にありますが、その土台となっているのが多職種や他科との連携です。患者さんを多面的にサポートする上では、看護師や栄養士、歯科衛生士、薬剤部スタッフらの協力が欠かせません。特に日々の忙しい業務の中、数名の看護師が移植コーディネーターとして奔走してくれているのは心強い限りです。当院は骨髄バンクならびに臍帯血バンク認定施設ですが、認定取得の背景には看護師らの多大な貢献がありました。

他科連携が円滑であることも当院の特徴であり、移植後の合併症への対応についても、皮膚科や腎臓内科等、関係する診療科に気軽に助言を求めることができます。こうしたチーム医療の実践が、治療成績の向上にも繋がっています。移植は施設の総合力が問われるということを、常日頃から実感しています。

若手医師の活躍と病診連携の充実が求められる

当院は2018年に無菌室を2床から9床に増床する予定です。これまで、抗糸状菌薬を中心とした予防的投与を積極的に行い、移植片対宿主病(graft versus host disease;GVHD)との鑑別のために菌種同定にも努めてきましたが、今後は感染管理をより徹底しつつ、移植への取り組みをさらに強化していきたいと考えています。

そこで求められるのがマンパワーです。当院だけでなく山梨県全体が、血液内科医不足の状況にあります。若手医師が少ない状況は早急に改善しなければなりません。種々のがんの中で、薬物療法により治癒に導くことができるがんの代表が血液腫瘍です。治療の主役が手術ではなく化学療法および造血幹細胞移植であるため、内科医の力をいかんなく発揮できるのが血液内科の魅力だと思います。分子標的治療等、革新的な治療法の出発点が血液内科であったというケースも少なくなく、がん治療全体をリードする診療科と言えるかもしれません。

治療の進歩は目覚ましく、その分、研鑽も要求されますが、私たちの工夫や努力でがん患者さんが生還されていく姿を目にするのはこの上ない喜びです。「県立中央病院で救われたという話を聞いて、今日受診しました」という患者さんに出会うたびに、血液内科医としてのやりがいを実感します。血液内科という舞台での若手医師の活躍に、期待を寄せています。

県全体の血液腫瘍診療の底上げを目指す上では、病診連携のさらなる強化も重要です。造血幹細胞移植の開始が比較的最近であったという背景もあり、血液腫瘍診療における県内の連携体制の構築は、まだ途上にあります。勉強会を開催するなどの取り組みを重ねることにより、病診連携の足場を整えていきたいと考えています。

医療機関名称 山梨県立中央病院
住所 〒400-8506 山梨県甲府市富士見1-1-1
電話番号 055-253-7111(代表)
医師名 飯野 昌樹(いいの まさき)先生
経歴
1991年
山梨医科大学医学部卒
2004年より
山梨県立中央病院勤務
ホームページ http://www.ych.pref.yamanashi.jp/外部サイトを開く