地域医療の担い手として、診療体制の充実を目指す

  • 診療科内科学第三(血液・リウマチ科)
  • エリア宮城県仙台市宮城野区

亀岡 淳一(かめおか じゅんいち)先生

東北医科薬科大学/内科学第三(血液・リウマチ科) 教授

亀岡 淳一(かめおか じゅんいち)先生

2016年に血液科が新設、「血液・リウマチ科」として新たなスタート

東北医科薬科大学病院は、前身である東北厚生年金病院が1982年に現在地に新築移転し、2013年に東北薬科大学病院となった後、東北薬科大学における医学部の新設と軌を一にして2016年4月より現在の名称になりました。その中で血液・リウマチ科は、従来リウマチ科のみであったところに私が血液内科医として赴任し、現在の体制で新たなスタートを切りました。

旧リウマチ科は東北厚生年金病院時代から東北地方のリウマチ・膠原病診療において中心的な役割を担ってきましたが、誕生したばかりの血液科は将来の飛躍のための“助走”の段階にあるといえます。想定する主な診療圏は仙石線沿線の宮城県東部(多賀城市、塩竃市)ですが、その輪郭がはっきりするのもこれからかと思います。

2017年現在、血液科は外来診療に重点を置き、入院治療は2名の血液内科医が所属する関連施設の東北医科薬科大学 若林病院(旧NTT東日本東北病院)を拠点に、他院との連携の下で進めています。私自身は週1回、若林病院に出向いて外来および病棟診療を行っています。若林病院は2床の無菌室を備えており、急性白血病に対する寛解導入療法などを行っています。今後数年かけて、本院のスタッフを増員し、無菌室を含めた設備を整え、先端医療を充実させていく予定です。

地域医療の担い手として、血液内科診療を実践できる総合診療医の育成も重要な役割に

私が東北大学の血液内科に入局した1980年代後半は、まだ東北大学病院と市中病院の血液診療の役割分担は明瞭ではありませんでした。その後我々は、市中病院のスタッフと何度も集まって議論を重ね、「東北大学は造血幹細胞移植等の先端医療中心、市中病院は血液一般医療中心」という役割分担を少しずつ確立し、現在に至っています。今度は、東北医科薬科大学の果たすべき新たな役割を見出す立場となりました。地域の医療事情を鑑みながら、当科の位置付けについて模索しているところです。

1つには、東北大学病院や市中病院であまり力を入れていない凝固系の診療・研究を充実させる計画があります。もう1つの方向性は、高齢化社会に特化した血液診療の開発です。当院のリウマチ科は、旧東北厚生年金病院時代からの実績のためか患者層の高齢化が進み、高齢化を考慮したきめ細やかなリウマチ膠原病診療を実施しているのが、特徴の1つです。同様に、血液科も、高齢化社会における総合的(医学的、社会的、経済的)な最善診療のエビデンス作りが役割の1つではないかと考えています(そのためには、ハイレベルの疫学研究部門が欠かせません)。

また、東北医科薬科大学は地域医療の担い手としての「総合診療医」の育成を使命の1つとしています。当科としても、例えば「血液内科診療を実践できる総合診療医」を育成することが重要な役割になるのではないかと思います。この点に関して、私はこれまでに東北大学で「骨髄移植の導入」「造血・免疫の基礎的研究」「悪性リンパ腫の臨床研究」など多岐にわたる活動を行い、近年には医学教育関連で全国の多くの優れた総合診療医との共同研究にも取り組んできましたので、こうした経験が活かせるのでないかと考えています。

チーム医療の最終的な目的は患者さんのアウトカムの改善にある

最近、チーム医療の重要性が強調されていますが、元来血液内科領域は他科との連携が不可欠であるため、チーム医療という用語がない時代から集学的なアプローチが進められてきました。現在でも看護師、薬剤師、放射線科医、リハビリテーション医、理学療法士、医療心理士、栄養士、歯科医などとの連携が不可欠です。

一般に、チーム医療の中核となる多職種カンファレンスでは、職種間の円滑な連携や全体のチームワークなど、医療者側の問題が議論の中心になりがちです。私自身もチーム医療をテーマとしたシンポジウムやワークショップに参加する機会が多いのですが、職種間のコミュニケーションに関心が集まる傾向があり、患者さんの問題が後回しになってしまうことが少なくありません。チーム医療の最終的な目的は、患者さんのアウトカムの改善にあることを銘記すべきです。

支持療法の進歩が患者さんの予後の改善に寄与

私は、医学部の学生に、「臨床医学の知識(knowledge)は時間的に静的(static)なものではなく動的(dynamic)なものであり、時間軸に沿ってその発展のプロセスを理解することが重要である」と伝えています。

私が血液内科医となった1980年中頃は、急性骨髄性白血病の長期生存例はまれでしたが、1980年代後半に、主に支持療法の進歩により、急性骨髄性白血病の治療成績は格段に向上しました。日本で初めてのカルバペネム系抗菌薬としてイミペネムが登場したのは、1987年のことです。次いで1989年に登場した抗真菌薬フルコナゾールや1990年に登場した抗ウイルス薬ガンシクロビルなどが、支持療法の進歩に貢献してきました。

その後も様々な抗菌薬や抗真菌薬が登場し、患者さんの予後の改善に寄与しています。優れた支持療法が定着した後に巣立った若い血液内科医にとって、1980年代の状況はピンとこないかもしれません。しかし、そうした時代があったこと、進歩の末に現在の状況があることは、知っておいていただきたいと思います。

血液内科医と総合診療医の融合に向けて

当施設で展開する血液内科診療・教育の今後の目標としては、先にも挙げたように血液内科医と総合診療医の融合を考えています。

多分野の交流が創造を生むと言われます。私は授業で、「どうすれば新しいことを考えつくことができるか……、それは主として『類推』をすることです。」という物理学者ファインマンの言葉を紹介し、幅広い分野に関心を持ち続けることの重要性を伝えています。その点で、東北医科薬科大学は診療科間の垣根が低く、総合診療科をはじめ多くの診療科との合同症例検討会は、「類推」の種を交換し合う格好の場となっています。

血液内科医に向けては総合診療の研修を行い、総合診療医に向けては血液内科の研修を行うなど、双方向的な教育、鍛錬の場を創出して、全国から希望者を募るシステムが構築できれば、日本の医療にこれまでにない貢献ができるかも知れません。この新しい施設の新しい診療科を、ともに創り上げていく仲間をお待ちしています。

医療機関名称 東北医科薬科大学病院
住所 〒983-8512 宮城県仙台市宮城野区福室1-12-1
電話番号 022-259-1221(代表)
医師名 亀岡 淳一(かめおか じゅんいち)先生
経歴
1984年
東北大学医学部卒
2017年より
東北医科薬科大学内科学第三(血液・リウマチ科)教授
ホームページ http://www.tohoku-mpu.ac.jp/外部サイトを開く(東北医科薬科大学)
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