血液疾患の診療を通して得られた多くの経験を、実臨床の現場から発信していきたい

  • 診療科血液内科
  • エリア長野県諏訪市湖岸通り

内山 倫宏(うちやま みちひろ)先生

日本赤十字社 諏訪赤十字病院/血液内科 部長

内山 倫宏(うちやま みちひろ)先生

治癒という治療目標を医師と患者が共有することが大切

当院は諏訪市を含む長野県南信地方を主たる診療圏としています。地域がん診療連携拠点病院であると同時に、市内で唯一の血液内科標榜施設でもありますので、貧血から血液悪性疾患に至るまで、血液疾患全般に幅広く対応しています。当科の外来患者数は月700~800人で、40床の病床は常時満床に近い状況です。移植医療は血縁者間移植を実施しており、非血縁者間移植は東京都内の施設に紹介しています。常勤医は私1人ですが(2020年8月現在)、1人で診療しているからこそ、一貫した治療方針の下で質の高い医療を提供したいと考えています。

血液悪性疾患の治療において、血液内科医は長期にわたって患者の人生に寄り添うことになります。私は患者との対話を特に重視しており、初回入院患者に対しては、疾患や治療について最初に1時間以上かけて説明し、正しい理解の下で前向きに自信を持って治療に臨んでいただけるよう努めています。分かりやすく説明することは信頼関係の構築にも繋がります。治癒を目指すという治療目標を、医師と患者が共有することが大切です。

真菌感染を示唆する徴候をいち早く察知し、早期に手を打つことが重要

血液疾患の治療における感染制御で最も危惧すべきものの1つが真菌感染です。フロア全体が防護環境にある施設も増えている中、当科が有する設備は無菌室2床(クラス100)と準無菌室5床に限られています。これら7床を最大限に稼動させつつ、ベッドアイソレーターの設置等、病室・病床単位での感染管理を行っています。また、感染を示唆する徴候をいち早く察知し、早期に手を打つよう努めています。たとえば好中球減少は侵襲性真菌感染症の重要な危険因子の1つですが、治療前の好中球数は患者ごとに異なりますので、感染症発症リスクを好中球減少期間のみで評価することには限界があります。最近、好中球減少期間と重症度を同時に評価する指標であるD-indexの有用性が注目されており、私も累積D-index(c-D-index)を感染症発症予測の参考にしています。c-D-indexは一例ですが、感染症発症リスクを総合的に判断し、リスクを層別化した上で、個々の患者の感染症の予防と治療を検討しています。

真菌感染症に対する治療戦略を考える際には、各抗真菌薬の作用点()や抗真菌スペクトラム等の特性や実臨床における国内外のエビデンスに基づき、より有効な治療効果を引き出すことを意識して薬剤を選択しています。移植患者の真菌感染管理における抗真菌薬の選択に関しては、予防的投与では糸状菌感染のリスクが高くない限り、私はフルコナゾール(FLCZ)を用いています。また、発熱性好中球減少症遷延例に対する経験的治療では、カスポファンギン(CPFG)とアムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)の2剤が選択肢となります。経験的治療において何より重要なのは、感染が疑われたら躊躇することなく、早期に治療に踏み切ることではないかと思います。ただし、過剰治療に陥らないよう、治療薬選択の理由を説明できる根拠を見出しておくことが必須であることは言うまでもありません。

各抗真菌薬の作用点

提供:内山倫宏先生

「当たり前のことを当たり前に行う」、その重要性を伝えたい

血液悪性疾患の治療は、「治癒に導ける人を確実に治す」ことが大切であり、そのためには「当たり前のことを当たり前に行う」ことが大前提にあると思います。では、その「当たり前のこと」とは何なのか。多くの血液疾患患者を診療して得られた経験を、まずはともに働くスタッフと共有したい、そしてその先には、実臨床からのメッセージとして、何らかの形で広く発信していきたいと考えています。

医療機関名称 日本赤十字社 諏訪赤十字病院
住所 〒392-8510 長野県諏訪市湖岸通り5-11-50
電話番号 0266-52-6111(代表)
医師名 内山 倫宏(うちやま みちひろ)先生
経歴
1999年
防衛医科大学校医学科卒
2009年より
諏訪赤十字病院勤務
ホームページ http://www.suwa.jrc.or.jp/外部サイトを開く