ファブリー病Q&A 小児編 vol.03「ファブリー病の診断」

ファブリー病 Q&A

ファブリー病に関して実際に先生方より寄せられた質問に、ファブリー病のエキスパートの先生にご回答・ご解説いただきました。

小児編 vol.03 ファブリー病の診断

Q.日常診療でファブリー病に遭遇する機会はまれですが、見逃すことがないようにしたいと考えています。そのポイントを教えてください。

今回のエキスパート
岡山医療センター小児科 医長
古城 真秀子 先生

A.特徴的所見からファブリー病を「疑う」ことが重要です。


小児期のファブリー病では、四肢疼痛と発汗低下による不明熱、被角血管腫が主訴で受診されるケースが多いようです。成人期になると蛋白尿、腎機能低下、肥大型心筋症、若年性脳梗塞が出現するので、いずれか1つでも症状があればファブリー病を疑うことが望まれます。

小児期のファブリー病の診断で、重要な四肢疼痛と発汗障害、被角血管腫には、以下に示すような特徴があります。こうした症状がみられる場合には、まず疑ってみることが重要です。疑わしい症例では家族歴を確認し、男児では酵素活性測定によるスクリーニングを実施していただきたいと思います。酵素活性測定の一部(衛生検査所登録を受けた施設での、白血球中酵素活性測定など)は保険で認められており、男性の患者さんでは確定診断に繋がる効果的なスクリーニングです。

●四肢疼痛

「燃えるような痛み」と表現される激しい痛みが四肢に認められます。痛みの出現状況は「風邪をひいて熱があるとき」「お風呂に入るとき」「運動しているとき」などといったエピソードが聞かれます。こうした状況で体温が上昇したときに、四肢末端に痛みが生じるようです。多くの場合、冷やすと痛みはやわらぎ、運動も再開できているようです。

ファブリー病に伴う痛みは、神経生検では小径線維神経の減少、電気生理学的な検討では交感神経節への糖脂質の沈着を認めることから、自律神経症状を呈する有痛性末梢神経障害と考えられています。治療では、酵素補充療法で痛みの改善が得られるとの報告があります1-3)

問診時には、たとえば「湯船につかったら痛くなることがありますか」と尋ねるのも有用でしょう。小児では、「痛いから湯船に入りたくない」という訴えもあるかもしれません。

●発汗障害

ファブリー病の発汗障害の特徴は、熱がこもって体温は上昇しているのに汗がかけない点にあります。小児期のファブリー病では高頻度にみられます。経過とともに進行します。
同様に発汗障害を認める先天性無痛無汗症では痛みも感じないため、疼痛を伴うファブリー病との鑑別は可能です。
電子顕微鏡検査ではエクリン汗腺分泌細胞にライソゾームの開大が認められることから、汗の排出障害、皮膚の乾燥を伴うものと考えられています。

●被角血管腫

ファブリー病でみられる被角血管腫は、体幹や手掌や肘、膝などに好発します。学童期から発現し、次第に数が増え、大きさも増します。
当初は径0.1mm大の点状の赤色斑であり、圧迫しても消失しません。大きくなると角層の肥厚が認められます。経過を経て径1~5mm大までになりますが、新しいものほど小さいため、経過が長くなると大小の血管腫が混在した状態になります。
ファブリー病に特徴的かつ重要な所見ではありますが、数が少ないため気づかれないことも少なくありません。

1)Hoffmann B, et al. Clin J Pain. 23(6): 535-542, 2007
2)Kovacevic-Preradovic T, et al. Eur J Echocardiogr. 9(6): 729-735, 2008
3) Ramaswami U, et al. Acta Paediatr. 96(1): 122-127, 2007


※ この記事は医師専用コミュニティサイト「MedPeer」内のコンテンツ「症例相談(Meet the Experts)」での質問・回答をもとに作成しております。


男の子でファブリー病を疑ったら、
まずα-ガラクトシダーゼ活性測定検査の実施を。


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