ファブリー病Q&A 循環器編

先生が心肥大、不整脈で治療中の患者さん。ファブリー病の可能性はありませんか?ファブリー病活性測定について詳しく見る

ライソゾーム病の一種であるファブリー病は、X染色体連鎖の遺伝性疾患であり、加水分解酵素α-ガラクトシダーゼの欠損あるいは活性低下によりGL-3またはGb3(グロボトリアオシルセラミド、別名セラミドトリヘキソシド:CTH)などの糖脂質が蓄積することで生じます。心症状はファブリー病の主要な症状の1つです。左室肥大を有する日本人男性の約3%でファブリー病が認められるなど、心肥大を有する患者さんの中に比較的高い頻度でファブリー病が存在することが報告されています。

監修:久保 亨 先生(高知大学医学部 老年病・循環器内科学 講師)

*Nakao S et al.:N Engl J Med 333(5):288-293,1995

もしかしてファブリー病?早期診断3つのポイント

1.進行性の心肥大が認められます。

ファブリー病ではGL-3またはGb3が心筋細胞に蓄積することで心肥大を認め、心機能障害を呈します。またGL-3またはGb3の蓄積は刺激伝導系の細胞にも生じ、心電図異常や不整脈が観察されることもあります。

心エコー図:拡張期心室中隔(IVSd)と後壁(PWd)の厚さが19mmを超える求心性左室肥大を認める(正常ではどちらも12mmを超えない)。

MRI:左室に著明なびまん性肥大を認める。

心電図:短いPR間隔、著明な左室肥大(高電位、ST低下、T波陰転化)を認める。

Linhart A. Chapter 20: The heart in Fabry disease. in Mehta A, et al (eds). Fabry Disease: Perspectives from 5 Years of FOS. Oxford PharmaGenesis, 2006

2.ファブリー病は、心障害が進行する前の治療開始が望まれます。

心機能障害はファブリー病患者さんの予後に深刻な影響をもたらします。かつてファブリー病の治療は、対症療法が中心でしたが、現在では酵素製剤を点滴静注する酵素補充療法やシャペロン療法などの治療法が存在します。
したがって、ファブリー病を早期に診断し、心障害が進行する前に、あるいは障害の程度が軽度のうちに治療を開始することが望まれます。ファブリー病の診断は、家族内の潜在患者さんの早期治療にも繋がります。

3.酵素活性測定の実施により確実な診断への一歩を。

ファブリー病の診断は、原因不明の心肥大のほか、腎障害の有無、ファブリー病に特徴的な症状(四肢疼痛、低・無汗症、被角血管腫、角膜混濁など)や家族歴(若年で心肥大や腎不全、脳卒中を発症した人がご家族やご親族に多い)などから、その可能性を疑うことが大切です。
少しでもファブリー病が疑われる場合には、男性例であれば、まずα-ガラクトシダーゼ活性の測定を行い、診断を進めていきます(α-ガラクトシダーゼ活性の測定で、診断可能なのは男性のみです。女性の場合は遺伝子解析を必要となりますので、ご注意ください)。


男性でファブリー病を疑ったら、
まずα-ガラクトシダーゼ活性測定検査の実施を。


ファブリー病の症例について、エキスパートの先生に解説頂いています。

ファブリー病Q&A

循環器編 Vol.01 女性のファブリー病の診断

Q.ファブリー病が疑われる女性の場合、家系調査以外に有用な診断法はありますか。

A.女性患者の診断に遺伝子解析は必須。しかし難しさもあります。

東京慈恵会医科大学小児科学講座 准教授
小林 正久 先生


Q&A一覧

Q.ファブリー病が疑われる女性の場合、家系調査以外に有用な診断法はありますか。

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Q.肥大型心筋症を合併している透析患者でファブリー病を疑う場合、診断はどのように進めたらよいでしょうか。また、すでに腎不全に至っている場合でも、酵素補充による治療を開始すべきでしょうか。

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Q.ファブリー病では、中年期以降に心肥大所見を認める症例で房室伝導障害をきたしてペースメーカー植込み適応となることがありますが、心エコーにより典型的な高輝度は認めるものの心肥大所見を呈さない若年症例でもファブリー病に起因する房室伝導障害は起こりうるのでしょうか。

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Q.ファブリー病の男性では30~40歳代、女性では50歳代で心不全が進行するとされていますが、不整脈出現のタイミングについてどのように考えておくべきでしょうか。ペースメーカー植込みのタイミングについても教えてください。

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Q.若年者に心肥大がみられる場合、高血圧性心肥大、肥大型心筋症やその類似疾患であるファブリー病を鑑別するために、すべての症例で酵素活性測定を行うべきでしょうか。

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Q.ファブリー病の遅発型である心ファブリー病は、どのようなケースで疑うべきでしょうか。また、心電図、心エコー、心臓MRIなどによる特徴的な所見、さらに診断における心筋生検の意義についても教えてください。

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