レビー小体型認知症の主な画像診断


監修:池田 学 先生
大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座 精神医学 教授

2017年に改訂された臨床診断基準では画像所見がより重要視され、ドパミントランスポーターシンチグラフィ、MIBG心筋シンチグラフィが指標的バイオマーカーに、CT/MRI、脳血流SPECT/FDG-PETが支持的バイオマーカーとされました1,2)

ドパミントランスポーターシンチグラフィ

指標的バイオマーカー
  • レビー小体型認知症ではパーキンソン病と同様にドパミントランスポーターの取り込み低下がみられる3)
  • レビー小体型認知症ではパーキンソン病に比べて尾状核におけるドパミントランスポーター結合の低下が著しく、パーキンソン病の方が被殻後半部分の左右差が大きいと報告されている3)
  • アルツハイマー型認知症での画像は通常正常であるため、レビー小体型認知症との鑑別に有用である3)。ドパミントランスポーターシンチグラフィとMIBG心筋シンチグラフィを組み合わせた場合、レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症を鑑別する際の感度は96.1%、特異度は90.7%と報告されている2,4)
  • レビー小体型認知症と他の認知症の鑑別診断能は、感度90%、特異度76%、陽性的中率49%、陰性的中率97%と報告されている2,5)
  • 各疾患におけるドパミントランスポーターシンチグラフィ画像6)
    各疾患におけるドパミントランスポーターシンチグラフィ画像

1)McKeith IG et al. Neurology 2017; 89(1): 88-100
2)日本神経学会 監修. 認知症疾患診療ガイドライン2017(医学書院)
3)小阪憲司 編. レビー小体型認知症の診断と治療 臨床医のためのオールカラー実践ガイド(harunosora)
4)Shimizu S et al. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2016; 43(1): 184-192
5)Tiraboschi P et al. Ann Neurol 2016; 80(3): 368-378
6)織茂智之. Prog Med 2014; 34: 217-222

MIBG心筋シンチグラフィ

指標的バイオマーカー
  • レビー小体型認知症では早期像、後期像ともに90%以上の患者でMIBG集積が低下する1)
  • レビー小体型認知症と他の認知症の鑑別診断能は、感度93%、特異度100%、陽性的中率100%、陰性的中率98%と報告されている2,3)
  • レビー小体型および他の認知症におけるMIBG心筋シンチグラフィ4)
    レビー小体型および他の認知症におけるMIBG心筋シンチグラフィ

1)小阪憲司 編. レビー小体型認知症の診断と治療 臨床医のためのオールカラー実践ガイド(harunosora)
2)日本神経学会 監修. 認知症疾患診療ガイドライン2017(医学書院)
3)Tiraboschi P et al. Ann Neurol 2016; 80(3): 368-378
4)織茂智之. 画像診断 中島健二 他編. 認知症ハンドブック(医学書院) p155

CT/MRI

支持的バイオマーカー
  • レビー小体型認知症では脳皮質全体の軽度な萎縮が認められるが、アルツハイマー型認知症と比較して海馬・海馬傍回、扁桃体の萎縮は軽度であることが多い1)
  • 臨床診断基準において、側頭葉内側部が比較的保たれることが支持的バイオマーカーとして挙げられている2,3)

1)小阪憲司 編. レビー小体型認知症の診断と治療 臨床医のためのオールカラー実践ガイド(harunosora)
2)McKeith IG et al. Neurology 2017; 89(1): 88-100
3)日本神経学会 監修. 認知症疾患診療ガイドライン2017(医学書院)

脳血流SPECT/FDG-PET

支持的バイオマーカー
  • レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症いずれにおいても後部帯状回、楔前部の血流低下がみられることから、両者の鑑別はしばしば困難である1)
  • アルツハイマー型認知症では海馬の血流が低下するのに対し、レビー小体型認知症では比較的保たれる1,2)
  • レビー小体型認知症ではアルツハイマー型認知症に比較して後頭葉の血流・糖代謝の低下が早期からみられる1,2)
  • 25例のレビー小体型認知症(probable)患者を対象とした脳血流SPECTの解析では、68%の患者に後頭葉血流低下をきたしたと報告されている1,3)

1)日本神経学会 監修. 認知症疾患診療ガイドライン2017(医学書院)
2)Fujishiro H et al. J Neurol Sci 2013; 334(1-2): 48-54
3)Tateno M et al. Dement Geriatr Cogn Disord 2008; 26(5): 453-457